台風を研究している、名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授。
のろのろと迷走を続け、長期間にわたって雨をもたらす今回の台風10号について、『長い研究の中でも過去にないケース』だと言います。
(名古屋大学宇宙地球環境研究所:坪木和久教授)「これほど停滞する台風は、ほとんど無いと思います。こんなに複雑な動きをして、ゆっくりで、しかも急に方向を変える。過去何十年間に渡って、よく似た台風を探したんですけれども、『停滞をする』とか、『上陸前に最大強度になる』こういった台風は珍しい」
飛行機で直接台風に入り、上からセンサーを投下して、台風の構造を調べてきた坪木教授。今回の特徴的な台風の背景には、やはり地球温暖化があると言います。
(坪木教授)「今、地球温暖化が進んでいて、日本周辺の海面水温が上昇している。特にことしは、九州~本州の南は30℃という、非常に高い海面水温。こういったことが頻繁に起こるようになってきているというのは、地球温暖化が原因となっています」
Q地球温暖化の必然と偶然がピタリ合ってしまった?
(坪木教授)「まさにその通りで、ある意味“最悪なケース”になったと言えると思います」
さらに今回、台風から離れていても、強い雨が各地で降り続く特殊な状況。これについては…?
日本は厳しい気候状態に…
(坪木教授)「台風の東側、非常に広い範囲にわたり、大量の水蒸気の流れ込みが起こっています。東海地方は、その真っ只中にある。2018年の西日本豪雨あるいは、もちろん2000年の東海豪雨、それに匹敵するような危険度になっているのではないかと思います」
29日午後2時半過ぎ、地球観測衛星が宇宙から撮影した写真では、日本全域が雲に覆われています。台風が弱まっても水蒸気が流れ込むため、過ぎ去るまでは雨への警戒が必要となります。
(坪木教授)「熱帯のような暖かい気候になりつつ、注意度の激しい気象現象がプラスされていくのが日本なんです。さらに厳しい気候状態に、今変わりつつあるという風に捉えて頂くのがいいと思います」