本物の上に“偽QRコード”貼る手口も…「攻撃者にとっても非常に便利」自販機に貼られた“謎QRコード”の正体は

四角の中にデザインされた複雑な模様。日本で開発され今や世界で使われる「QRコード」です。
スマホのカメラをかざすだけで、ウェブページが表示されたり、財布もカードも必要なくスマホ1つで買い物ができる電子決済も。世界の電子決済取引額は、年間210兆円と爆発的に増えています。
今や国民の約半数が使っているというQRコードですが、これを悪用する事件も。
愛知県岩倉市の集合住宅のポストに、謎のQRコード付きチラシが投函されたのは、おととし11月。チラシには「家賃に関する重要なお知らせ」と書かれていました。
“偽QRコード”で家賃のオンライン支払い呼びかけ…被害者も
家賃がオンラインでの支払いになったとして、QRコード決済を呼びかける内容で、同様のチラシは周辺17の集合住宅に、合わせて400枚投函されていました。
実際に60代の男性が2回にわたり、合わせて10万6000円を騙し取られ、その後容疑者の男が逮捕されました。問題の住宅で住人に聞いてみると…
(住民) 「(チラシは)あちらに貼ってある」
いまも注意を呼びかける管理会社の告知が張り出されていました。
サイバーセキュリティーの専門家は、手軽さゆえに利用が広がり続けるQRコードの危うさを指摘します。
本物のQRコードの上に“偽QRコード”貼り付けることも
(サイバーセキュリティー専門家 増田幸美さん) 「(QRコードは)攻撃者にとっても非常に便利なもので、攻撃者もQRコードを使ってきています。詐欺師は自分の詐欺サイトへ導くためのQRコードを(本物の)上から貼り付けることがあります」
QRコードは、ウェブサイトでマウスを右クリックすれば簡単に作れてしまうのです。これを印刷して本物の上に貼り付け、特定のサイトに誘導する手口もあるといいます。
ETCの利用照会サービスを装った詐欺メールにもQRコードが。
これを読み込むと…偽サイトは本物そっくりで、そこでメールアドレスやパスワードを入力させるようになっています。
多くの人が他のサイトでも同じメールアドレスやパスワードを使う場合があるため、無断で買い物をされるなどの被害が起きているといいます。
(サイバーセキュリティー専門家 増田幸美さん) 「本当に正しい人から渡されたQRコードなのか、それが確認できるまでは安易にQRコードを読むのは非常に危険です」
自販機に貼られた“謎のQRコード”「SCAN ME」
そしてQRコードは詐欺だけでなく勧誘などにも使われています。東京・渋谷区の自動販売機に貼られていた、謎のQRコード。
「SCAN ME」と読み込みを呼び掛ける言葉が。さらに…別の自動販売機でも同じシールを発見。
渋谷駅周辺だけでも13の自動販売機に貼られていた謎のQRコード。一体これはなんなのか。読み込んでみると表示されたのは、ある団体のホームページです。親権制度の改正に賛同する署名や寄付金を求める内容が書かれていました。
一体誰がこのシールを貼ったのか?自動販売機の会社に聞くと…
(自動販売機の運営会社) 「このシールは第三者に勝手に貼られたものです。この団体とは何も関係ありません」
なんと"無許可"で貼られていたことがわかりました。
弁護士「器物損壊に当たると考えられる」
(街の人) 「自販機のサイト(につながる)と思いました」 「勘違いして、読み込んじゃうかもしれません」
専門家はこうした行為が罪に問われる可能性があると言います。
(上原総合法律事務所 上原幹男弁護士) 「落書きと同じように考えて、QRコードを貼るという行為がモノの本質的な用途を害していると評価して、器物損壊に当たると考えられます」
アメリカにある、この団体の本部に取材を申し込んだところこんな回答が…
「QRコードはキャンペーンの一環で、公共の場で配布しましたが、私たちが自動販売機に貼り付けたわけではありません」
便利さゆえに、決済やPRなどあらゆる場面に広がっているQRコード。しかしその裏側に、思いもよらない世界が広がっていることを忘れてはなりません。

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