厚生年金の適用拡大、2035年に先送りへ 中小零細の負担考慮

厚生労働省は29日、パートら短時間労働者が厚生年金に加入する企業規模要件を撤廃する時期について、当初の2029年10月から35年10月に変更する案を、自民党年金委員会に示した。自民党などから中小零細企業の保険料負担を懸念する意見が相次いだため。5人以上の個人事業所への適用拡大も、新規開業に限定する方針だ。
厚生年金の加入には、従業員51人以上の企業を対象にする企業規模要件など複数の要件がある。厚労省は当初、29年10月に企業規模要件を撤廃する方針だったが、中小零細企業に配慮して時期を今から10年後に先送りした上で、小刻みに引き下げたい意向だ。まず27年10月に「36人以上」とし、29年10月に「21人以上」、32年10月に「11人以上」と段階的に引き下げ、最終的に35年10月に撤廃したい考えだ。
5人以上の個人事業所は、建設や製造業など17業種が適用対象となっている。一方で、農業や宿泊、飲食、理美容などは適用されていない。厚労省の案では、29年10月から非適用業種を撤廃するが、5人以上の個人事業所への適用拡大は新規開業のみを対象とする。既存の事業所は当面、任意での加入を促す。
自民党年金委員会では、厚生年金の積立金を活用する基礎年金底上げ案も議論したが、出席した議員からは「厚生年金の流用法案だ」などと反発する意見も出た。引き続き議論する。【宇多川はるか】

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