オウム真理教による地下鉄サリン事件が20日で発生から30年を迎えるのに当たり、教団を巡る捜査に長年携わった警視庁の捜査幹部(60)は7日、麹町署で、後輩警察官らに事件を伝え、風化防止につなげるための講話をした。
捜査幹部はこれまでも、警察署や警察学校などで、若手警察官らに教団や事件に関する講話を繰り返してきた。
月末に定年退職を控え、「最後の伝承」となった今回は、麹町署員約50人が参加。地下鉄サリン事件の概要や、再発防止に向けた団体規制法整備の経緯などについて説明した。
教団を巡っては今も「Aleph(アレフ)」など後継3団体が活動を続ける。
講話後、取材に応じた捜査幹部は「依然として(教団元代表の)松本智津夫が絶対的影響力を保有し、殺人行為に及ぶ危険性を有している。本質は変わっていない」と強調した。
「事件を風化させてはいけないとの思いがあった」と講話を始めたきっかけを振り返り、「私の話を聞いた警察官が、警察活動の中で地域住民らに教団の危険性や引き起こした事件について伝えていってほしい」と願った。
[時事通信社]