「今は妻の分まで生きたい、それだけだ」…福島・相馬市でも遺族らが墓参り

福島県相馬市の相馬山摂取院には11日朝から、東日本大震災の津波で家族や親族を亡くした遺族らが墓参りに訪れた。
同市の宍戸保さん(73)は、妻の礼子さん(当時58歳)の墓に手を合わせた。14年前のあの日、礼子さんは勤務先から車で帰宅途中、津波に巻き込まれて亡くなったとみられている。宍戸さんは母親のトキセさん(当時89歳)、兄の光一さん(当時61歳)、姉の臼井ヤスノさん(当時67歳)の3人も津波で失った。
礼子さんは控えめな人柄で、夫婦で旅行に行くことを楽しみにしていた。宍戸さんは、震災直後の半年ほど仮設住宅で涙に暮れたというが、「とにかく生きなければ」と自分を奮い立たせた。一人暮らしになり、礼子さんに任せきりだった家事も徐々にこなせるようになった。
礼子さんの墓石には「天に生きる」と言葉を刻んだ。天国では楽しく生きてほしいとの願いを込めたという。宍戸さんは「14年という月日はあっという間だった。今は礼子の分まで生きたい。それだけだ」と墓に語りかけた。

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