オンラインカジノ利用経験337万人、市場規模1・2兆円…警察庁が推計

海外のオンラインカジノを利用したことがある人が国内で約337万人に上り、年間の市場規模は約1・2兆円と推計されることが、警察庁の実態調査でわかった。30歳代以下の利用が目立ち、経験者の4割は「違法性を認識していなかった」と回答した。
国がオンラインカジノに関する実態調査結果を公表するのは初めて。国内では競馬や競輪などの公営競技以外に賭ける行為は刑法の賭博罪に当たるが、近年は日本語対応のオンラインカジノサイトが乱立しており、改めて啓発や抑止策の必要性が浮き彫りとなった。
警察庁は民間業者に委託して昨年7月以降、全国の15~79歳を対象にインターネットで調査を実施。2万7145人から回答を得た。
調査結果によると、オンラインカジノについて「現在も利用」と回答したのは550人で、「過去に利用」(392人)と合わせた経験者の人数は計942人(全体の約3・5%)だった。年齢別人口を掛け合わせると、現在の利用者は約197万人で、経験者は約337万人と推計された。
経験者の年齢別の内訳は、20歳代が31%と最多で、30歳代が27%、40歳代が20%と続いた。10歳代も6%いた。インフルエンサーの影響やカジノサイトの「無料版」をきっかけに利用を始めたケースも目立った。
経験者500人を抽出した調査では、賭け金の年間平均額は約63万円で、国内の市場規模(賭け金の総額)は約1兆2423億円と推計された。
利用したカジノサイト(複数回答)は「ベラジョンカジノ」(中米・オランダ領キュラソー)が186人と最多で、「カジノシークレット」(同)125人、「クイーンカジノ」(中米コスタリカ)106人などだった。
日本語に対応する上位40サイトはいずれも各国賭博事業の許可を得た業者が運営しており、キュラソーのサイトが約7割を占めていた。このうち35サイトへの日本からのアクセス数は昨年8~10月、計約1700万回に上っていた。
著名人がオンラインカジノの広告塔になっているケースもあり、警察庁は「賭博ほう助」に当たる可能性もあるとみて注意を呼びかける方針。
カジノ利用拡大の背景には、海外のカジノ事業者と連携して賭け金の決済を代行している国内業者や、ブログや動画でカジノサイトの宣伝をしている「アフィリエイター」の存在があり、警察当局は賭博ほう助の容疑などで摘発を進めている。

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