古墳時代の犬、纒向遺跡出土の骨から復元模型に…「卑弥呼がなでた犬だったかも」

邪馬台国の有力候補地、奈良県桜井市の纒向遺跡で出土した3世紀前半(古墳時代前期)の犬(纒向犬)の骨から、桜井市教育委員会と市纒向学研究センターが、精度の高い生体復元模型を製作し、22日、発表した。骨格を基に動物学的な検討を重ねて復元した古代の犬の模型は国内2例目。古墳時代の犬では初めてで、学術的な価値が高いという。(関口和哉)
犬の骨は2015年の発掘調査で約140点が出土した。約300点あるとされる全身骨格の47%にあたる。古墳時代の犬骨の出土例は極めて少ないことから、犬の骨に詳しい宮崎泰史・元大阪府立狭山池博物館学芸員や丸山真史・東海大教授(動物考古学)ら専門分野の研究者とともに、同センターが詳細な調査と研究を実施。その成果として模型を製作することにした。
骨は、1歳半以上の若い雌と推定され、復元した体高(足先から肩の高さ)は48センチ、体長58センチと、現在の四国犬か紀州犬の大きさと同程度だった。
弥生時代から古墳時代にかけて、この大きさの犬が中国大陸や朝鮮半島から持ち込まれ、縄文時代以来の小型犬の中に、大型化した個体が登場してくるとされる。しかし、纒向犬は、骨が長さに対して厚さや幅が小さいことなどから、きゃしゃな体格と推定され、大型化の系譜上に位置付けられず、大陸からもたらされた可能性があるという。
模型は、CTスキャンで骨の3次元データを作成した後、3Dプリンターで石こう製の骨のレプリカを作り、骨格を組み上げて粘土で肉付けした。それを型取りして合成樹脂製の模型を2体製作し、それぞれを茶色と灰色に彩色した。
同センターの寺沢薫所長は「犬の骨は王宮跡から出土しており、倭の女王・卑弥呼と時間と空間を共有していた可能性が極めて高く、卑弥呼がなでた犬だったかもしれない。日本における犬の歴史や形質の研究上、高い学術的価値がある」と話している。
模型は23日~9月28日、市立埋蔵文化財センターで展示される(6月2~30日は市役所で展示)。

また、愛称も募集しており、10月頃に結果を発表する。応募は愛称(フリガナ)と愛称の理由、氏名、年齢、住所、連絡先をはがきに書いて6月30日までに市纒向学研究センター(0744・45・0590)に郵送する。

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