石破首相は10日、自民党内の反対意見を押し切って戦後80年の「首相所感」を発表した。自民側からは「首相個人の考えにすぎない」との声が出ている。
自民の高市総裁は10日昼、首相官邸で同日中の発表を首相から告げられた。面会後、高市氏は記者団に「なにか、閣議決定していないものを発表する予定がある(と聞いた)」と述べ、政府の公式見解にはならないとの考えを強調した。
自民内では、所感の必要性について懐疑的な見方が多かった。特に保守派の議員には、戦後70年の安倍首相談話で「歴史の問題は決着がついた」(中堅)との意見が根強く、首相退任直前の発表に公然と反対する声が出ていた。
こうした批判に対し、首相は10日の記者会見で「いいかげんな考えで書いたものではない。首相として出す責任は十二分に自覚してつくった」と反論した。
約20回の推敲を重ねたと胸を張り、1時間半にわたって歴史への思いを語った。所感では、銃撃事件で命を落とした安倍元首相に触れたほか、戦前に「反軍演説」を行った斎藤隆夫・元衆院議員にも言及した。
野党からは評価する声も出ている。国民民主党の玉木代表は10日、国会内で記者団に、「よく書けた内容だ。戦争に至った国内の体制やシステムへの洞察は新しい」と述べた。