台風22号による激しい暴風雨に見舞われた伊豆諸島・八丈島(東京都八丈町)。最接近から3日目となった11日も島内では断水が続き、島民らは生活水や飲料水を確保しようと、臨時の給水所や食料品店に詰めかけている。接近する台風23号への不安も募り、島民らは疲弊している。(古賀章太郎)
八丈町によると、浄水場7か所のうち4か所の水源が土砂崩れで埋まったり、水源からの水道管が破損したりして使えなくなっている影響で、ほぼ全域で断水が続いている。11日には各地に臨時給水所を設けた。
同町樫立の臨時給水所には同日午前、続々と訪れた地元住民が列をつくった。バケツを手に並んだ女性(82)は自宅の水道や電気が止まっているといい、「風呂も入れないし、トイレを使うのも不便。いつまでこんな生活が続くのか」と疲れた様子だった。
同じく並んでいた男性(65)は台風が最接近する前に用意していた飲料水16リットルが半分まで減り、生活水はほぼ底をついたという。男性は「ここまで長くなるとは思わなかった」とため息をついた。
食料品店では開店直後から飲料水などが売り切れ、食品全般の品薄状態が続く。10日に営業を再開した中村商店(同町大賀郷)の代表、中村武さん(78)は「1か月分の水やお茶が10日のうちになくなった」と驚いていた。
伊豆諸島に接近する台風23号への不安も大きい。11日から物資が届き始めたため、営業を再開した「スーパーあさぬま」(同)には、買い物客が詰めかけた。副店長の浅沼耕平さん(51)は「備蓄のために大量に買っていく人が多い。半分パニック状態だ」と語った。
高校生と小学生の子どもを連れて訪れた女性(49)は「次の台風も近づいていて、土砂崩れが心配。これ以上、被害が出ないでほしい」と不安そうに話した。