「罰則のよう…」OTC類似薬の追加負担、患者ら動揺 専門家「支援体制の構築必要」

OTC類似薬について、厚生労働省が追加負担を求める対象として示したのは77成分。抗アレルギー薬や解熱鎮痛剤など一般的に広く処方されている薬剤が含まれる。
子供や難病・がん患者は除外も…
子供やがん・難病患者らには、追加負担を求めない方針だが、配慮対象者の具体的線引きなどはまだ不明な点も多く、患者らには不安が渦巻く。
難病指定を受けていない神経の病気を抱える40代の女性は日々、手の痛みやしびれなどと闘っている。ペンを握ることさえ、つらい日もあるという。
OTC類似薬を含め、保険適用される多くの薬に支えられているが、月の薬代は1万円近くに上る。女性は「追加負担の設定は、つらい症状を抱えて暮らす患者への罰則のよう」と訴える。
負担見直しによる医療費の削減効果は年約900億円とも言われ、国は薬をもらうために医療機関に通う「お薬受診」を減らし、市販薬の選択も促していきたい意向だ。
「医療費削減ありき」に警鐘
だが、神奈川県立保健福祉大の坂巻弘之シニアフェロー(医薬品政策)は「現在のOTC類似薬を巡る議論は医療費削減ありきで、患者への支援体制を十分に構築しないまま、受診抑制へと誘導する流れになっている」と警鐘を鳴らす。
OTC類似薬を巡っては、日本維新の会が保険適用から外すよう求めてきた経緯があり、国は今後、さらなる改革にかじを切る可能性もある。
坂巻氏は追加負担を求める上では、「薬の長期服用が必要な患者には、負担軽減につながる配慮措置が必要だ」と指摘。軽度な不調に対し、市販薬の選択を促していくにしても「薬剤師が寄り添って適切なアドバイスを行い、必要に応じ、医師に確実につないでいける態勢の充実、強化も求められる」と語った。(三宅陽子)

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