宮内庁長官を24日付で退任した西村泰彦氏(70)が25日、宮内庁で記者会見した。天皇、皇后両陛下の被災地訪問などに同行して「皇室は国民の心のよりどころ」と感じた日々を振り返り、国会で皇室制度改革の議論がまとまらなかった現状に「じくじたる思い」と心残りを語った。新長官に就任した黒田武一郎氏(65)も会見に臨み「皇室のご活動を支える責任の重い仕事に微力ながら努力を尽くしたい」と抱負を語った。
安定的な皇位継承に向けた皇族数確保策を巡っては国会での意見集約が難航。西村氏は「拙速な議論は避けるべきだが、早く多くの国民が受け入れ、支持してくれる案をつくっていただきたい」と訴えた。
皇室の活動を交流サイト(SNS)で紹介するなど広報体制強化を進めた根底には「バッシングそれぞれに反論するのは難しい。皇室の方々が国民の幸せを願う日々の活動をぜひ理解していただきたい」との思いがあったという。
黒田氏は総務省事務次官などを経て2023年12月に宮内庁次長に就任。次長を経験し「皇室の歴史の重みと現在の皇室に対する国民の期待や関心を強く感じさせられた」という。「(西村氏が)引かれた進むべき道を発展、深化させたい」と述べ、皇室制度の議論を進めるために「さまざまな機会で問題の重要性を説明したい」との姿勢を示した。
また、「つつがない皇室のご活動と、皇室の方々の健康の維持」を考えることを基本に「適切な情報発信の努力を続ける。できるだけタイムリーにわかりやすく、さらなる広報充実を進めたい」とも語った。【山田奈緒、柿崎誠】