法務省、証拠開示「消極的」と反省 再審無罪の福井中3殺害で

1986年に福井市で中学3年の女子生徒(当時15歳)が殺害された事件で、法務省は7日、再審無罪が確定した前川彰司さん(60)を巡る検察当局の対応の反省点をまとめた文書を明らかにした。名古屋高裁金沢支部の再審無罪判決(2025年7月)は前川さんに有利な証拠を把握しながら開示しなかった検察側の対応を「罪深い不正」と断じており、法務省は「消極的ともとれる対応だった。厳粛に受け止める」と記した。
文書はA4判で15ページ。再審制度の見直しを議論している自民党の部会で示された。名古屋高検は1日、これとは別に公判に関与した検察官への聞き取りなど追加調査を始めたと発表している。
事件では前川さんの関与を直接示す証拠はなく、検察側は「事件当日夜に血の付いた前川さんを迎えに行った」という知人男性の供述を有罪立証の支えとした。男性は事件当日の出来事として、テレビで見た音楽番組の具体的な場面を証言したが、実際に放送された日は別日だった。検察側はこの事実を記した捜査報告書の存在を把握しながら、2回目の再審請求審まで開示しなかった。
法務省は文書で、捜査報告書を保管しながら事実と異なる主張を続けた点について「従前の主張を維持しようとして修正などをしなかったと判断せざるを得ない」と指摘。捜査報告書を1回目の再審請求審で開示しなかったことも「現在の視点から見れば消極的ともとれる対応と言わざるを得ない」とした。
前川さんは87年に逮捕され、1審・福井地裁判決は無罪だったが、2審・名古屋高裁金沢支部は懲役7年の逆転有罪とした。22年に申し立てた2度目の再審請求審で再審開始が確定し、25年8月に再審無罪が確定した。【五十嵐隆浩】

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