福島県郡山市の磐越自動車道上り線で6日、高校生20人を乗せたマイクロバスがガードレールなどに突っ込み、男子生徒1人が死亡した事故で、福島県警は7日、バスを運転していた新潟県胎内市、無職の男(68)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕した。容疑を認めているという。現場付近に目立ったブレーキ痕はなく、県警は減速することなく衝突した可能性があるとみて調べている。
死亡の生徒は最後尾に座る
発表などによると、男は6日午前7時40分頃、郡山市内の磐越道上り線でマイクロバスを運転し、道路左側のクッションドラムとガードレールなどに衝突させ、生徒1人を死亡、17人に重軽傷を負わせた疑い。「速度の見極めが甘かったのが原因。(制限速度が時速80キロの区間で)90~100キロ出ていた」と話しているという。
バスには新潟市中央区の私立北越高校の1~3年生の男子ソフトテニス部員が乗っており、新潟市西区の高校3年稲垣尋斗さん(17)が反対車線まで投げ出されて死亡した。ほかの生徒5人が重傷、12人が軽傷となり、後続のワゴン車の2人が軽傷を負った。
稲垣さんはバス最後尾の4人掛けシートの右から2人目の位置に座っており、県警は、稲垣さんが前方部からバス車体に突き刺さったガードレールの直撃を受けて車体後部から車外に投げ出されたとみている。ガードレールが貫いた方向の座席に座っていた生徒たちが重傷を負ったという。
書面かわさずにバス会社に手配
バスはバス会社「蒲原鉄道」(新潟県五泉市)が手配したレンタカーだった。同社によると、営業担当者が高校側から「貸し切りバスを使わずにレンタカーを使って送迎をしたい」「安いものを探して」と依頼を受け、自身の免許証を示してレンタカーを借りたという。高校側からレンタカー代を預かったが、運行料金や紹介手数料は受け取っていないとしている。「知り合いの知り合い」の男を運転手として学校側に紹介した。運転歴などは確認しなかったという。
茂野一弘社長は6日夜、取材に「会社の業務としてやっているわけでなく、お付き合いの中でお手伝いをした」と話した。
これに対し、同校の灰野正宏校長は顧問が同社に行き先や人数を伝えてバスの運行を依頼したとし、レンタカーの手配は依頼していないと主張。一方で、顧問が同社と書面を取り交わさずにバスの手配を依頼したことを明らかにし、「一般の商慣習ではありえない行為。見直していきたい」と話した。
国土交通省北陸信越運輸局は7日、同社に立ち入り調査を行った。有償の送迎を無許可で行う「白バス行為」にあたるかどうかを含め道路運送法に違反するか調べる。福島県警も同法違反の疑いも視野に調べる。
「運動神経が抜群だった」
事故で亡くなった稲垣さんの遺族は7日、新潟県警を通じて「大切な存在である息子を思いがけない出来事で失い、深い悲しみの中にいる。この状況をまだ受け止めきれずにいる」とのコメントを出した。
娘が中学校の同級生だったという女性によると、稲垣さんは部活動の部長などを務めていたといい、「運動神経が抜群で元気で明るい子。娘も信じられないとショックを受けている」と話した。
稲垣さんの通っていた北越高校では同日午前に全校生徒への説明が行われ、夜には保護者説明会が実施された。灰野校長は終了後に記者会見し、「痛恨の思いでいっぱいだ。今後は亡くなられた方、ご遺族の方、けがをされた方、そのご家族に誠意をもって対応していく」と陳謝した。