徳島の阿波おどりの一席20万円の「プレミアム桟敷席」が建築基準法に違反していたとして、席を運営する実行委員会と「アソビュー」が、購入者に全額返金することを決めました。 阿波おどりで今年新たに設置された20万円の「プレミアム桟敷席」事業は、レジャー予約サイト運営会社の「アソビュー」から提案を受けて実施されました。 実行委などの発表によりますと、徳島市が開催前に調べたところ、階段の幅や手すりの高さなどが定められた建築基準からそれぞれ10センチ足りなかったため、検査済証の交付が行われていませんでしたが、検査済証の交付がない建築基準法違反の状態のまま、桟敷席を運営していたということです。 実行委と「アソビュー」は協議して、違法状態のまま運営したことを重く受け止め、プレミアム桟敷席の購入者へ席代全額を返金することを決定し、きょう(31日)購入者へ連絡したということです。 プレミアム桟敷席は観光庁の支援事業に採択され、最大5500万円の補助金が交付される予定です。観光庁は補助金を申請した「アソビュー」から聞き取り調査を行っていて、今後、補助金の交付が適切かどうか検討するということです。《どこが建築基準法違反?なぜ起きた?》 【市の指摘事項】1 手すりの高さ 1,100mm以上必要だが100mm足りない1,000mm2 背面入口幅 1,000mm以上必要だが100mm足りない900mm3 テーブル配置の未確認4 外階段の幅 900mm以上必要だが100mm足りない800mm5 外階段の蹴上の高さ 180mm以下である必要があるが220mm 発表によると、1.2を指摘通りに修正、3を図面通り配置、しかし4.5については修正できないため、「階段にスタッフを配置し適切な誘導を図る」「外階段へ照明、フットライトを設置して視認性をあげた」といった独自の安全対策を施したといいます。 ただ、「アソビュー」、実行委、建築事業者とも市から検査済証を交付されていない建築物を事業に使用することが建築基準法の違反状態であるという認識がなく、指摘事項を改善した後に再度検査を受け、検査済証を取得する事が必要とも認識できていなかったということで、発生の原因は、建築基準法に関する十分な専門知識を持ち合わせていなかったこととして、再発防止策を定めるとともに、プレミアム桟敷席を購入した全ての客へ全額を返金することを決定しました。