農林水産省は25日、佐賀県鹿島市の養鶏場で、家畜伝染病の高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されたと発表した。今季は国内で既に野鳥の感染が確認されていたが、養鶏場での発生は今回が初めて。県はこの養鶏場の約4万羽を殺処分とし、農水省は全国の都道府県と養鶏関係者に警戒を要請した。
政府は25日、首相官邸で「鳥インフルエンザ関係閣僚会議」を開いた。松野博一官房長官は、岸田文雄首相の指示として(1)防疫措置の迅速な実施(2)情報収集(3)予防措置の指導・支援(4)国民への正確な情報発信―を伝え、「感染拡大防止に政府一丸となって取り組む」よう関係省庁に求めた。
これに先立ち、農水省が開いた対策本部で宮下一郎農水相は「渡り鳥の飛来とともに鳥インフルエンザの発生シーズンを迎えている。今回の地域以外でも発生する恐れがある」として、全国の養鶏関係者に向け、農場の衛生管理と発生予防対策の徹底を呼び掛けた。まん延防止対策での佐賀県との連携、現地調査チームの派遣を決めた。
県によると、24日午後に養鶏場から死んだ鶏の数が増えていると通報があり、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性を確認、25日未明の遺伝子検査で感染が確定した。
昨季は、昨年10月28日に国内初感染を確認。感染は今年4月にかけて全国26道県の84事例に拡大し、過去最多の約1771万羽が殺処分の対象となった。鶏卵の供給不足も深刻化し、JA全農たまご(東京)が公表している卵の卸値の平均基準値(Mサイズ、東京)は、4~5月に1キロ当たり350円と過去最高水準で推移した。
その後、6月に感染収束を意味する「清浄化宣言」の手続きが完了し、卵価格も下落基調となっていた。
[時事通信社]