接見室内は〝ブラックボックス〟 面会悪用、外部とビデオ通話 「ルフィ」弁護士捜索

「ルフィ」などと名乗る指示役が関与した一連の広域強盗事件を巡り、弁護士が容疑者との接見交通権(面会)を悪用し、警察署の接見室で、容疑者と関係者をスマートフォンでビデオ通話させていた疑いが28日、明らかになった。弁護士の接見交通権は、司法機関に逮捕された容疑者を守るための重要な権利とされる。一般の面会と異なり、警察官が立ち会いすることができないため、接見室内は〝ブラックボックス〟化している側面もあり、言動に外の目は届かない。
警視庁は面会人を対象に配布している「面会人の心得」という文書で、接見室内でのスマホ通話の禁止などを明示している。警視庁関係者によると、受け付け時に一般の面会人からは携帯電話やボイスレコーダーなどを預かるが、弁護士は任意だとし、「預ける弁護士は多くない」という。
弁護士が違法な形で面会した事件は、過去にも起きている。特殊詐欺事件の関係者に対し、指示役の容疑者が有利になる供述をするよう迫ったとして東京都の弁護士が今年3月、証人等威迫容疑で警視庁に逮捕された。
この弁護士は容疑者にスマホを貸し、「これ以上聞かれても何も答えないでほしい」などと関係者へ電話させたほか、容疑者が「調書のサインしたでしょ」などと書かれた書面を持つ画像もスマホで送信していた。いずれも容疑者が留置されていた警視庁の警察署の接見室で行われていた。
警視庁関係者は「明確な犯罪は止めなければならないが、仮に弁護士の様子がおかしいと思っても注意しづらい面がある」と明かす。
刑事弁護に詳しい若狭勝弁護士は「仮に家宅捜索容疑の通りなら、現在の制度や弁護士への信頼を大きく損ね、弁護士倫理として許されない」と指摘する。「弁護士たる者が証拠隠滅の疑いを持たれること自体が資質に欠ける」とする。
若狭氏は「弁護士一人一人が、高い倫理観の元、このようなことをやってはいけないと胸に刻むべきだ」として「同じような問題で処分を繰り返し受けるような資質に欠けた弁護士は厳しく処分すべきだ」と話した。(内田優作、前島沙紀)

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