2023年度補正予算案の基本的質疑を行った28日の参院予算委員会では与党の公明党が質問に立った。社会保障財政における賃上げや物価高騰への対応部分は「別枠扱いにすべきだ」との同党の改革提案に、岸田文雄首相は「検討する」との答弁すらせず距離を置き続けた。「総理の塩対応」(公明関係者)に自民内には「自公の隙間風が強まる一方」(閣僚経験者)との懸念が広がった。
先の衆院予算委で公明党は中野洋昌氏が社会保障財政のあり方の検討を提案。岸田首相は「社会保障費をどのように拡大していくのか議論し、用意をしなければならない」と答弁していた。同日の審議で山本香苗氏は「社会保障関係費の伸びを高齢化による増加分に抑える」との政府の歳出目安を引き「このままでは介護報酬改定などのための財源が十分に確保できない」と指摘。中野氏の発言も踏まえ「税上振れといった充当財源もある。歳出の目安に含まない別枠扱いを検討してほしい」と求めた。
首相は「将来の社会保障のありようについて議論を深めていく」と3分以上も熱弁したものの検討の有無に触れずじまい。業を煮やした山本氏から「確認だが検討されるのか」と更問いをされたが「別枠とのご指摘もいただいたが、未来に向けて議論を深めていきたい」と「検討」との言葉すら出さなかった。ゼロ回答の「塩対応」に戸惑いを隠せない山本氏が「暗に別枠のこともしっかり検討していただけると受け取りました」とまとめると与野党の委員席から失笑が漏れた。