恵庭市の牧場で知的障がいがある3人が障害年金を横領されたなどとして、牧場と市に損害賠償を求める裁判が始まり、市側は虐待を認識していなかったなどとして請求の棄却を求めました。
訴えを起こしているのは恵庭市の牧場で去年まで働いていた知的障害がある3人の男性です。
牧場の一角に置かれたプレハブ。3人の男性は水道も通っていない劣悪な環境の中、住み込みで働いていました。
牧場で働いていた男性)
(Qストーブはあった?)
「ストーブの燃料は使ったらダメと」「あそこお金入ってからずっとお金使われっぱなし」
牧場は元恵庭市の市議会議員で議長も務めた遠藤昭雄氏が経営していましたが遠藤氏は2020年に病死し、家族が運営を引き継いでいます。3人の通帳は牧場側が管理していて、支給されていたほぼすべての障害年金が残っておらず、その合計額は5000万円を超すとされています。
これは、市内で障害者支援を行う事業所が3人が置かれていた状況について市の担当者とやり取りした際に記録した文書です。
市役所職員の様子を記録した資料から)
「金銭的搾取が疑われる」「遠藤氏が元市議会議員であったことが分かり、対応に気を付けるようにと達しがあったとのこと」
今年8月、3人は障害年金を横領されるなど経済的虐待を受け、市も問題を把握しながら隠蔽したとして牧場側の家族と市におよそ9400万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。
28日に行われた第一回の口頭弁論で原告の弁護団は。
「健常者に対して許されないことが障害者相手であれば、許される、そのようなことはあり得ない」
答弁書によると牧場側は「事実について認められない部分がある」と争う姿勢をみせています。
また市側は3人は雇用されていたのではなく、牧場側はいわば里親に該当すると主張。
さらに市は虐待の疑いを強く認識しておらず、牧場主に対する忖度などは皆無であったなどとして請求の棄却を求めました。
原告弁護団船山暁子弁護士)
「原告さんたちは知的障害者である前に1人の人間なんだと。あなたたち裁判官はこんな環境で生きてきたことについてどう考えるんですか?それを前提に判断してほしい」
次回の口頭弁論は来年1月30日に行われます。