自民党の各派閥が政治資金パーティの収入を過少記載したとして告発されている問題を巡り、安倍派(清和会)のパーティ券の大口購入者の3割以上が、同派に所属する池田佳隆元文科副大臣(57)の支援企業だったことが、「 週刊文春 」の取材でわかった。安倍派の所属議員が100人近いことを踏まえれば、極めて高い割合と言える。
不記載額が最も大きい安倍派
自民党の主要5派閥は、2018~21年の政治資金収支報告書にパーティ収入約4000万円分を過少記載したとして、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)容疑で告発されている。中でも、不記載額が約1900万円と最も大きいのが、安倍派だ。11月24日時点で、既に54カ所の収支報告書の訂正に追い込まれている。
その安倍派のパーティ券を最も捌いていると見られるのが、池田氏だ。2012年の衆院選で愛知3区から出馬し、初当選。現在当選4回で、岸田政権では昨年まで文科副大臣兼内閣府副大臣を務めた。保守派の文教族として知られ、「文科相経験者の萩生田光一政調会長の“舎弟”のような存在」(自民党関係者)だという。
大口購入者35社のうち13社が
実際、池田氏はどれほど派閥のパーティ券を捌いているのか。政治資金収支報告書には、20万円を超えてパーティ券を購入した大口の企業・団体名などが記載される。安倍派の2022年の収支報告書によれば、大口購入者は17社。このうち、3割以上の6社が池田氏の政治団体に献金ないしはパーティ券を購入したことがある支援企業だった。2021年の収支報告書によれば、大口購入者は35社。このうち、3割以上の13社が同様に池田氏の支援企業だった。中には、同じ年に安倍派のパーティ券も池田氏のパーティ券も購入していた企業も少なくない。例えば、工業用ゴムメーカー(名古屋市中区)は2022年に安倍派のパーティ券を100万円分、池田氏のパーティ券を150万円分購入していた。
安倍派のパーティ券収入は毎年1億円前後だが、池田氏の支援企業によるパー券購入額を合計すると、多い年で950万円に上っていた。安倍派の所属議員は100人近いことなどを踏まえれば、パーティ券購入者のうち池田氏の支援企業が占める割合は極めて高く、「池田氏は異常なほどパーティ券を捌いていると言っていい」(安倍派関係者)。
池田氏に事実関係の確認を求めたが、期限までに回答はなく、その後、担当者が「派閥に関することなので、こちらでは一切お答えできません。派閥にお問合せ下さい」と口頭で回答。清和会は「事実関係を確認し、適切に対応して参ります」とした。
では、池田氏は一体、なぜこれほど派閥のパーティ券を捌いてきたのか――。
11月29日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および11月30日(木)発売の「週刊文春」では、池田氏の人物像や多額の派閥パーティ券を捌いてきた背景、森喜朗元首相や安倍昭恵夫人の政治資金を巡る問題、元最高幹部の事務所資料に記されたパーティ券販売の実態などについても詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年12月7日号)