4月の東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、木村弥生・前区長(58)を支援した自民党衆院議員の柿沢未途・前法務副大臣(52)が、区長選前に同党区議らに現金を渡したことを認めた上で、違法性を否定する文書を支援者に送っていたことがわかった。事件への柿沢氏の見解が明らかになったのは初めて。柿沢氏は「区議選の立候補予定者への陣中見舞いで、買収の意図はなかった」としている。
東京地検特捜部は先月16日、公選法違反(買収)容疑で柿沢氏の同区の地元事務所や秘書、区議の自宅などを捜索。特捜部は柿沢氏が秘書に指示し、区長選で木村氏を当選させる目的で、同党や無所属の区議らに計100万円以上を提供した疑いがあるとみている。
柿沢氏は「後援会の皆様」と記した先月30日付の文書で、同党区議ら5人に各20万円を提供し、うち2人から返却されたとし、「地元の自民党支持者の中で、(自身の)支持基盤を強化するための地盤培養行為として行った」と説明した。
同区長選では、自民党が推薦する区長候補と木村氏が対立する構図だったことにも触れ、「対立候補を当選させるために現金を交付するという反党行為をするはずがない」と主張した。
現金を受け取った3人からは陣中見舞いとしての領収書を受領したとし、「買収の意図がなかったことは明らかだ」と強調。提供額も「国会議員として常識的な範囲の額だ」としている。
木村氏の陣営が違法なインターネット有料広告動画を掲載したとする公選法違反容疑についても、柿沢氏は「『動画配信が有効であるようだ』という話をしたが、動画の作成に関わっていない」とし、「動画に違法性があるという認識はなかった」と釈明した。