「そういう話はあったと思う」
自民党派閥パーティーの“裏金作り”疑惑をめぐり、最大派閥安倍派が所属議員に課したパーティ券の「ノルマ」超過分を議員側に現金で「キックバック」していた、などと報じられている問題。同派座長の塩谷立衆院議員(73)が11月30日に党本部で行われた派閥会合後、記者団に対してあっさりと認めたため衝撃が走った。
塩谷氏はその後、「事実を確認しているわけではない」などと撤回したのだが、それにしても塩谷氏はなぜ、公職選挙法や政治資金規正法にも触れる可能性がある「キックバック」について簡単に「あった」と漏らしたのか。
永田町でささやかれているのは、「政治資金パーティーをめぐるキックバックは昔からあったため、素直に答えてしまったのではないか」(野党国会議員秘書)との指摘だ。
「政治資金規正法の中に該当しているから問題にならぬ」として扱われてきた?
確かに過去の国会質疑をみると、政治資金パーティーをめぐるキックバック疑惑についてのやり取りが確認できる。
2000年11月6日の衆院で行われた「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」で、当時の民主党議員はこう質問していた。
「一般的に、県連主催のいわゆる政治資金パーティーの場合に、例えばですが、2万円ぐらいの政治資金の寄附金だとすると、そのうち1万円ぐらいキックバックという制度があるところも多々あると聞いております。1000円でも2000円でもいいです、もしそういうようなことがあった場合には、県連を通してこちらに来るという話になった場合には、どういうふうに判断されますか」
これに対し、第2次森改造内閣で農相を務めた自民党の故・谷津義男氏はこう答えていた。
「2万円という数字を今聞いたわけでありますけれども、それは常識の範囲内の金額ではなかろうかなというふうに思うのですよ。例えば、それがフィードバックして私のところに1000円来るというのは、私は今まで経験したことがないからそういうのはわかりませんけれども、実際にそういうことがあったにしましても、それは常識の範囲内の、いわゆる政治資金規正法の中に該当しているから問題にならぬというふうに思いますね」
どうやら実態は定かではないものの、与野党を問わず、政治資金パーティーを利用した「キックバック」を指摘する声は以前からあり、谷津氏のように「政治資金規正法の中に該当しているから問題にならぬ」として扱われてきた可能性があるようだ。
ちなみにこの時の特別委の委員長は元郵政相の自見庄三郎氏(78)。資金管理団体の収支報告書の記載漏れが相次いでいる自見英子地方創生担当相(47)の父親だ。
大規模な政治資金パーティーを隠れみのにしたキックバック問題。検察はよ~く調べてほしい。