岸田首相にスリ寄り、ゆ党化を深める国民民主党がついに仲間割れだ。9月の党代表選で敗れた代表代行の前原誠司衆院議員が30日、嘉田由紀子参院議員ら3人を引き連れて離党。7月に立憲民主党を除籍になった徳永久志衆院議員も加わり、新党「教育無償化を実現する会」を立ち上げた。前原氏が代表、嘉田が副代表、徳永が幹事長に就任。日本維新の会の看板政策を掲げ、意味深に船出した。「非自民非共産の枠組みで野党結集を進め、政権交代への道筋をつけたい」という前原氏の訴えが実現するのか、維新に吸収されるのか。
■玉木路線に嫌悪感
11月30日の会見で前原氏は「国民民主党はトリガー条項の凍結解除にほとんどの体重をのせ、支持率が低い岸田政権と協力を模索する路線にある」と批判。2022年度予算、23年度補正予算に続き、24年度予算案にも賛成しかねない玉木雄一郎代表への嫌悪感をあらわにした。
維新との関係については「特定政党と話をしているわけではないが、われわれの政策理念を共有いただけるなら連携していきたい」とお茶を濁した。
「前原氏は外交・安全保障の専門家なのに、教育無償化を掲げるあたり、腰かけ感が漂います。ハードルが低く、どことでも組める。とりあえず政党交付金を受給し、次期衆院選までに身の振り方を決める腹なのでしょう。国会議員を5人集めたので政党要件を満たし、年間億円単位のカネが懐に入る」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
国民民主党は野党第4党に転落
前原新党5人のうち、3人は滋賀が地盤で、近畿全体に勢力拡大しつつある維新は脅威そのもの。新党結成は選挙対策で維新と握るためのワンクッションだともっぱらだ。
「次期衆院選で野党第1党を目指す維新の馬場伸幸代表らは、旧民主党の閣僚経験者らと勉強会をつくり、会合を重ねている。元外相の前原氏は主要メンバー。勉強会を受け皿に野党再編を一気に進める。それが前原氏や馬場氏が温めてきた構想ですが、大阪・関西万博の建設費倍増で維新に逆風が吹く中では分が悪い。当面は様子見でしょう」(野党関係者)
一方、野党第3党から第4党に転落した国民民主はカンカン。離党届受理を拒んだ榛葉賀津也幹事長は「政党交付金目当てか分からないが、暮れに新党をつくろうとする行動は有権者はうんざりではないか」「仲間を裏切る政治家は一般国民も裏切る」とこき下ろしていたが、目くそ鼻くその感がある