京アニ公判 青葉被告に死刑求刑「裁判史上突出して多い被害者」

36人が死亡、32人が重軽傷を負った令和元年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の論告求刑公判が7日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。検察側は「類例のない凄惨な大量殺人。日本の刑事裁判史上、突出して多い被害者数だ」と述べ、甚大な被害結果を踏まえて被告に死刑を求刑した。
犠牲者数は殺人事件としては平成以降最悪。弁護側は、現場となった京アニの第1スタジオ(京都市伏見区)がらせん階段の構造になっていたことから、火の回りが早く被害が拡大した可能性を指摘。これに対し、論告で検察側は「ガソリン放火を想定した訓練などなく、どのような対策も無力。弁護側の主張は犯行の責任を理不尽にも被害者側に転嫁するものだ」と批判した。
弁護側は被告の刑事責任能力を争い、心神喪失による無罪を主張。論告に続く最終弁論でも無罪を訴えるとみられる。
被告は放火行為自体は認め、「やり過ぎた」と供述。京アニのコンクールに出品した自作小説を盗用されたと思い込んで京アニへ恨みを募らせ、京アニと背後でつながる「闇の人物」から逃れるため、放火したなどと動機を述べた。弁護側は精神障害による妄想の強い影響により事件を起こしたと主張している。
9月5日の初公判から20回を超えるこれまでの公判で、青葉被告は、妄想に基づくとみられる動機や見解を繰り返し語った。一方で事件について「後悔している」「(極刑をもって)償うべきだと思う」とも述べ、6日の被告人質問では初めて犠牲者の遺族や被害者に向けて「申し訳ございませんでした」と謝罪した。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする