ウラ金疑惑が指摘されている安倍派幹部5人について、政府・与党内では、閣僚や自民党の役職の辞任は不可避との声が強まっています。政治部の平本典昭・官邸キャップが解説。
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岸田総理は、日曜日にしてはめずらしく慌ただしく動いています。午後6時ごろ、自民党の茂木幹事長が、岸田総理がいる総理公邸に入りました。10日は岸田総理は都内のホテルを昼、夕方の2回訪れるなど、党幹部などキーマンと相次いで会談したとみられます。
──松野長官の進退はどうなりそうでしょうか?
事態は「安倍派幹部の一掃」という形になりそうです。
松野長官に加え、さらに西村経産大臣、萩生田政調会長、高木国対委員長、世耕参院幹事長など5人について、政府与党内では辞任は不可避との声が強まっています。
──政権への打撃はどうなってしまうんでしょうか?
政権発足以来最大のピンチといえますが、今、3つの「異常事態」が起きているといえます。
1つ目は「官房長官」が辞任不可避となってることです。
政治とカネの問題などで大臣が辞任することは毎年のようにありますが、他の閣僚ならまだしも、政権の要、官房長官の辞任となれば、およそ20年前の2004年に小泉内閣で福田官房長官が辞任して以来の「異例」の事態です。
2つ目は最大派閥、安倍派の幹部5人を問題が直撃している点です。
チーム岸田は閣僚、党幹部あわせれば30人弱ですが、この5人は政権の中枢、かつ最大派閥・安倍派幹部です。この5人がそろって辞任不可避というのも「異例」です。
──ここまででも十分にインパクトが強いですが、まだもう1つあるということですか?
最後のひとつは、だったら代えればいいじゃないかと思うかもしれませんが、すぐにできない点がまた「異例」なんです。
なぜかというと、捜査が本格化するのはこれからという中で、岸田総理としてもどこまで影響が拡大するのか見えておらず、いま人事を行っても、また問題が発覚すればさらなるピンチを招くだけで、動くに動けないわけです。ある総理側近議員は「松野氏だけを先に交代させるか改造するかは不透明だ」としています。
13日(水)に会期末を迎えます。来年度予算編成のメドとなるのは22日です。ここまで待って人事を行うのか、タイミングは慎重に判断するものとみられます。