安倍派が存続の危機、「5人衆」全員が裏金疑惑の渦中に…自民党内での影響力低下避けられず

自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会、99人)が存続の危機に直面している。派閥の政治資金パーティー収入を所属議員に還流させて裏金化していた疑惑が明らかとなり、党内での影響力の低下は避けられない情勢だ。
「私の所属する政策集団に関し、疑惑を持たれる事態になったことを深くおわび申し上げたい」
安倍派に所属する世耕弘成参院幹事長は9日、出張先の京都府宇治市で記者団にこう述べた。自身も1000万円超の裏金作りの疑いが持たれており、「責任の一端を感じている」とも語った。
同派は、世耕氏に、松野官房長官、西村経済産業相、萩生田政調会長、高木毅国会対策委員長を加えた「5人衆」が中枢を担うが、5人とも同派の裏金化疑惑の渦中にある。
岸田首相(自民党総裁)は一連の疑惑を受けて、閣僚や党役員の交代を視野に入れているとされる。実際に人事が行われた場合、疑惑がつきまとう安倍派議員は後任の選択肢から外れるのは確実だ。
パーティー券購入者の減少により集金力が低下したり、派閥からの離脱者が相次いだりする可能性も指摘される。安倍派内からも「疑惑を 払拭 するには派を一度解散するしかない」(ベテラン)との声が漏れる。立憲民主党の泉代表は9日、静岡市内で記者団に「派閥幹部は一掃。派閥も解体していい」と批判を強めた。
安倍派からは2000年以降、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫と4人の首相が輩出した。民主党政権を経て、12年12月に首相に再登板した安倍氏は連続在職7年8か月の最長政権を築いた。菅前政権や現在の岸田政権でも、派の数の力を背景に、閣僚・党役員人事で優遇を受けるなどしてきた。
今回の疑惑を受け、同派支配の時代は早晩終わりを迎えるとの見方が党内で出始めている。別の派閥のベテランは、「『清和1強』の時代が長く続き、組織の緩みやおごりが生まれたのだろう」と指摘する。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする