埼玉県ふじみ野市の住宅で2022年1月、訪問診療の医師らを散弾銃で殺傷したなどとして、殺人罪などに問われた無職渡辺宏被告(68)の裁判員裁判で、さいたま地裁(小池健治裁判長)は12日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
起訴状などによると、渡辺被告は22年1月27日午後9時頃、前日に92歳で病死した母親の訪問診療を担当していた医師の鈴木純一さん(当時44歳)ら医療関係者7人を自宅に呼び出し、散弾銃で鈴木さんの胸を撃って殺害したほか、別の男性2人にも発砲して殺害しようとしたなどとしている。
渡辺被告は鈴木さんを人質にして自宅に立てこもり、約11時間後の翌28日午前8時頃、突入した捜査員に緊急逮捕された。
検察側は、母親の死亡確認後に渡辺被告が依頼した蘇生措置を鈴木さんが断ったことなどで恨みを募らせ、強い殺意をもって計画的に犯行に及んだと指摘。
一方、弁護側は、鈴木さんに対する発砲は「大けがをさせようと右膝の付近を狙ったが、予想外の所に当たった」とし、傷害致死罪などで懲役15年が妥当と主張していた。