去年6月に、大阪府富田林市の集合住宅一室で、当時2歳の女の子がベビーサークル内に監禁され、熱中症で死亡した事件。当時、女児の祖母と同居していたとされ、保護責任者遺棄致死と逮捕監禁の罪に問われた男に、12月13日大阪地裁堺支部は、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。桃田貴徳被告(52)は、▽去年6月24日~29日、小野真由美被告(47)とともに孫・小野優陽ちゃん(当時3)を、四方を板張りにしたベビーサークルに監禁、27日夜からは両手足を粘着テープで縛った状態で監禁した罪(逮捕監禁)と、▽その27日夜~29日に十分な水分や食事を与えることをせず、結果的に優陽ちゃんを熱中症で死亡させた罪(保護責任者遺棄致死)で起訴されていました。複雑な“家族関係”について、桃田被告は2014年から小野被告と同を開始。2016年にはふたりの実子(小野被告から見れば五男)が誕生しました。優陽ちゃんの父親は小野被告の三男ですが、三男は優陽ちゃんを小野被告・桃田被告に預けがちになり、最終的に2020年1月頃から、小野被告・桃田被告が優陽ちゃんを引き取っていた状態となりました。家には、小野被告の四男(事件当時15)も同居。さらには、2021年12月から事件直前の去年6月中旬までは、小野被告の長女も同居していました。6月24日~29日にかけ、小野被告と桃田被告は、両被告の実子(先述の五男)とともに、「ホテルで外泊~一時帰宅」を繰り返しました。宿泊先の中にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)近くのホテルもあり、USJにも行っていました。ベビーサークルは既製品ではなく、ベビーベッドの柵を活用したもので、そこに四方に板を張るなど“改造”が重ねられていきました。事件の1か月あまり前には、2つ折りのフタも取りつけられたといいます(被告側は取りつけた直後にすぐに取り外されたと主張/検察側は事件当時も付いていたと主張)。小野被告は、養育の手がかかった優陽ちゃんをそのベビーサークルに入れておくことを常態化させ、さらには優陽ちゃんがオムツを脱いで排泄物を投げるなどしたため、両手足を粘着テープで頻繁に縛るようになっていきました。そうした小野被告の一連の行為に対し、桃田被告が特段意見を述べることはありませんでした。裁判で桃田被告は起訴内容を否認。最大の争点は桃田被告に、優陽ちゃんの生命・身体の安全を左右する「保護責任者性」が認められ、小野被告とともに優陽ちゃんを遺棄したと認められるか否かでした。弁護側の主張は、「同居期間中の優陽ちゃんの養育は、小野被告の長女や四男が大きな役割を果たしていて、桃田被告はむしろ“部外者”であった。事件直前に、口論をきっかけに小野被告との同居関係を正式に解消した」などと、保護責任者性は存在しないというものでした。検察側は、「桃田被告・小野被告を養育者とする家族関係が明確に存在し、桃田被告の収入が主な生活資金源となっていた。ベビーサークルの改造に関与し、小野被告がベビーサークルに優陽ちゃんを入れることを容認していた」などとして、保護責任者性があるのは明らかと主張していました。桃田被告は無罪を主張した上で、最終陳述では「優陽にかわいそうなことをした。申し訳ない気持ちで一杯です。法律上の責任は分からないが、(裁判所には)公平な判断をしてほしい」と述べていました。