自民党安倍派〝裏金〟問題 宮沢博行氏が内情暴露も…議員の「責任回避」危惧する声

トカゲの尻尾切りになるのか――。自民党の主要派閥を巡る政治資金パーティーの収支報告書への不記載による裏金問題で、東京地検特捜部は週明けにも安倍派や二階派の強制捜査に乗り出す方針を14日に固めた。安倍派の大臣及び副大臣、首相補佐官などが軒並み辞表を提出したが、「派閥の問題」と議員らは責任回避する魂胆だ。
「頭悪いね」と報道陣に発言、炎上した谷川弥一衆院議員を筆頭に安倍派の議員がダンマリを決め込んでいた中、突如、口を開いたのが宮沢博行衆院議員だ。13日に「派閥から収支報告書に記載しなくてよいとの指示があった。(問題発覚後は)しゃべるな、しゃべるな、これですよ」と報道陣に内情を暴露したのだ。
宮沢氏の告発にネット上では「ついに安倍派崩壊の始まりだ」「ようやく本当のことをしゃべる議員が現れてくれた」と称賛の声が上がったが、永田町は冷ややかだ。立憲民主党の蓮舫参院議員は「X」に「醜い。自ら吐露して罪を軽くしたいとの意図が透けて見えます」、日本維新の会の音喜多駿政調会長は「早めに白状した方が検察の追及の手が緩むかもと思えば、このような行動に走る議員も出てくる」とポストした。
安倍派ではキックバックをまとめた一覧表が作成され、それを特捜部が入手し、次々とキックバック額と議員の名前が挙がる事態になっていることから、情報を流している裏切り者の〝ユダ〟の存在に党内は疑心暗鬼になっていた。
「立件を免れ、泥船から逃げ出そうと宮沢氏が司法取引したのではないかとの見方もあったが、実は宮沢氏は〝誰からの指示〟という部分はごまかしていて『派閥の方』としている。要は議員個人がちょろまかしたのではなく、派閥の事務方が組織的に行っていたというスキームに世論誘導しているとも言える」(永田町関係者)
議員が派閥を介さずにパーティーのノルマ超過分を不記載で懐に入れた場合と、派閥からキックバックの形で不記載にしている場合とでは責任の度合いが変わってくる。宮沢氏の発言以降、この日、辞表を提出した鈴木淳司総務相も不記載を認めたうえで「裏金という意識は全くなかった」と話し、派閥に責任を押し付ける気で満々だ。
「派閥が組織的にキックバックを裏金にしていたとすれば、直接的に責任が問われるのは清和会の会計責任者になる。既に特捜部は任意で事情聴取しているようですが、松野博一(前)官房長官や高木毅(前)国対委員長ら歴代の事務総長がどこまで関与していたかに焦点が移る。事務総長による指示が認められなければ、政治の世界でよくある秘書や会計責任者だけが詰め腹を切らされる可能性は高い」(前同)
令和のリクルート事件の大疑獄に発展する可能性もあって、特捜部は全国から応援検事をかき集めて捜査に当たるが、来月の通常国会が開会すれば不逮捕特権があるだけに立件するには約1か月の時間的制限もある。宮沢氏が事務総長の指示があったと自白するような事態になれば事は一気に進展するが、年末年始は両者の間で攻防戦が繰り広げられることになりそうだ。

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