不記載疑いで会計責任者の立件検討…東京地検、安倍派議員らに事情聴取を要請

自民党の「清和政策研究会」(安倍派)による政治資金パーティー収入の裏金化疑惑で、東京地検特捜部が同派の会計責任者について、収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかったとする政治資金規正法違反(不記載、虚偽記入)容疑での立件を検討していることがわかった。特捜部が同派の所属議員らに任意の事情聴取を要請したことも判明した。
特捜部による聴取は、派閥を取り仕切る事務総長経験者を含めて数十人規模に上り、日程を調整した上で一斉に行われる見通しだ。
関係者によると、同派はパーティー券販売のノルマ超過分を議員側に現金で還流し、派閥側、議員側双方の収支報告書に収支を記載せず裏金化していた疑いがある。還流分は2018~22年の5年間で計5億円規模に、派閥側の収支報告書への不記載額は総額10億円超となる可能性がある。
同法は、政治団体の会計責任者に収支報告書の記載や提出の義務を課している。今回の疑惑では、同派の会計責任者は還流分を同派の収支報告書に記載せず、議員側にも記載しないよう求めていた疑いがもたれている。会計責任者は特捜部の任意の事情聴取に対し、収支報告書に記載しなかった事実関係を認めた上で、還流の仕組みについて説明しているという。
同派では松野博一氏(61)、西村康稔氏(61)、萩生田光一氏(60)、高木毅氏(67)、世耕弘成氏(61)といった派閥幹部の衆参5議員を含む数十人側が還流分を裏金化した疑いがある。金額が1000万円を超えるのは松野、高木、世耕の3氏側を含め10人以上いるという。
特捜部は安倍派での裏金化は派閥主導で行われたとの見方を強めており、同派について同法違反容疑で強制捜査に乗り出す方針を固めている。一方、個々の議員側に対する任意の聴取では還流の有無や金額、使い道のほか、収支報告書の記載状況などを確認していくとみられる。
このほか、「志帥会」(二階派)と「宏池会」(岸田派)でもパーティー収入を実際よりも少なく派閥の収支報告書に記載していた疑いが浮上。二階派では計1億円超、岸田派では計数千万円が記載されていなかったとされ、特捜部は両派についても捜査を継続する。

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