政府は、価値観を共有する国の軍に防衛装備品の無償供与などを行う「政府安全保障能力強化支援」(OSA)で、フィジーに警戒監視用の小型警備艇と小型救難艇を供与する方針を固めた。太平洋 島嶼 国へのOSA適用は初めて。米国と中国が覇権を争う戦略的要衝で、対中抑止力を高める狙いがある。
複数の政府関係者が明らかにした。両国の政府高官が18日に、フィジーの首都スバで合意文書に署名する。総額は約4億円相当となる見込みだ。
フィジーは、日本とオーストラリア、米国を結ぶ海上交通路(シーレーン)の要衝に位置し、日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」の実現にとって重要な国の一つだ。今回供与する小型警備艇などは、豪州軍がフィジー軍に実施する訓練に活用される予定だ。日豪両国で連携してフィジー軍の警戒監視能力を強化し、同地域の海洋安保の維持を目指す。
OSAは今年度に始まり、適用はフィリピン、バングラデシュ、マレーシアに続いて4例目となる。フィジーに対する日豪連携は、OSAを通じた他国との協調支援として、初の事例となる見通しだ。
◆「政府安全保障能力強化支援」(OSA)=非軍事関連の支援に限ってきた政府開発援助(ODA)と異なり、同志国の軍を直接支援できる枠組み。昨年12月に改定した国家安全保障戦略に導入方針が明記された。協力分野は、領海・領空の警戒監視能力の向上など、国際紛争との直接の関連が想定しがたい分野に限定されている。