石川・白山市で3人負傷、師走のクマ被害に衝撃広がる…福祉施設の建物では10分間体当たり

石川県白山市の市街地で16日、クマが男女3人を相次いで襲い、重軽傷を負わせた。クマは同日夕に駆除されたが、付近では別のクマが民家の車庫に立てこもっているという目撃情報もあり、予断を許さない状況が続いている。前例のない12月の人身被害に、住民には不安が拡散。県は「冬眠の時期だからと油断しないでほしい」と引き続き、警戒を呼びかけている。
市や消防によると、午前9時55分頃、同市安養寺町の住宅で野菜を仕分けていた70歳代女性がクマに襲われ、顔の骨を折る重傷。その後、午後1時頃に近くで70歳代男性が、1時間後には同市鶴来桑島町で玄関から家に入ろうとした60歳代女性が相次いで襲われ、それぞれ顔や腕などにけがを負った。
同市安養寺町の会社員(38)は「『うわー』という大きい叫び声が聞こえた。顔を押さえている男性が歩いているのを見かけた」と話した。被害に遭った60歳代女性の兄は「この時期クマは冬眠しているはず。50年近くここで暮らしているが、こんなことは初めてだ」と声を震わせた。
クマはその後、野々市市に移動。同市上林の福祉施設「 百々鶴 荘」では午後2時10分頃、庭から入ってきたクマ1頭が、約10分間にわたって建物に体当たりしたり、窓ガラスをひっかいたりしたという。施設では一部の網戸が外れたが、当時建物内にいた入居者ら約50人に被害はなかった。同施設は予定していた入居者の入浴を翌日に延期し、外出を避けて部屋で待機してもらうよう呼びかけたという。
県や猟友会は午後5時頃、白山市部入道町の民家の敷地内で、成獣のクマ1頭を駆除した。一方、同市安養寺町の民家の車庫では別のクマが入り込んだとの目撃情報もあり、白山署や市が警戒にあたっている。17日朝から捜索を始めるという。
県自然環境課によると、県内のクマによる人身被害はこれまで2020年の11月18日が最も遅く、12月の被害は統計を取り始めた05年以降初めてだ。16日の被害を合わせ、今年の県内のクマによる被害は3件で、被害者は5人となった。
県内では、10月に金沢市と小松市でクマによる人身被害が相次いだことから県がツキノワグマ出没警戒情報を発令し、注意を呼びかけていた。同課の担当者は、クマは例年12月中旬頃に冬眠に入り目撃件数が減ってくるとした上で、「果実や生ゴミなどクマの誘引物を除去し、早朝や深夜の外出は控えてほしい」と呼びかけている。

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