兵庫県姫路市立小学校の特別支援学級で男性教諭(41)から暴言や体罰を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、男子児童2人と保護者が18日、姫路市に計2000万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。児童側は「生きる価値なし」などの暴言が繰り返されたことで「安全なはずの学校で日常的に虐待され、著しい精神的苦痛を受けた」と訴える。
教諭は市立城陽小学校に勤務し、2018年から特別支援学級の担任だった。一連の暴言・体罰は21年6月に「お前なんか必要ない」などと言い、児童の腕を振り回したことをきっかけに発覚した。県教委は児童6人に対する計34件の行為が「著しい非行」に該当すると認定。教諭を懲戒免職とした。
訴状によると、教諭は原告の児童2人が1年生から4年生までの間、「お前はクソ以下や、生きる価値なし」「早く転校しろ」「イライラさせるな」と再三発言。足をかけて倒れ込ませたり、無理やりプールに放り込んだりする体罰も繰り返した。障害をからかう発言もあった。
こうした暴言・体罰により、児童1人は睡眠障害やフラッシュバックを発症。もう1人は理由もなく泣き出したり、物に当たったりする言動が目立つようになった。2人とも不安定な状態が続き、専門医からPTSDと診断された。
児童側は「人格形成に最も大切な時期に健全な発達がゆがめられた。今も後遺症が続いている」と訴え、校長ら管理職も教諭の言動を知りながら放置してきた責任があると主張する。
損害額は慰謝料や後遺症による逸失利益など計約2億円と算定したが、訴訟では「内金」として1000万円ずつを請求。この理由について、弁護団は「金銭目的ではなく、訴訟を通じて被害実態を広く伝え、教育行政に一石を投じたい」と説明している。
姫路市教委の西田耕太郎教育長は「被害児童と保護者の方々には誠に申し訳なく思う。提訴を重く受け止め、真摯(しんし)に対応する」とのコメントを出した。【村元展也】