故・細田前衆院議長 派閥会長時代にキックバック金額指示か 「議員立件のハードルは低くない」特捜部による捜査の行方は?【news23】

先月亡くなった細田博之前衆院議長。安倍元総理の前に派閥の会長を務めていました。関係者への取材で、細田氏がキックバックの金額を議員に指示していた可能性が明らかになりました。
岸田総理「盛り下がらないといいな」“裏金疑惑”捜査の行方は
18日夜、帝国ホテルで開かれた懇親会。遅れて到着したのが岸田総理です。
岸田総理「遅れて参りましたもんですから、もう会場がだいぶ盛り上がっております。会が盛り下がらないといいなと思いながらちょっとだけ話を…」
こう予防線を張って語ったのが、あの話。
岸田総理「政治資金をめぐり国民から疑念を持たれる事態を招いている。心からお詫びを申し上げなければならない」
喜入友浩キャスター「千代田区にある安倍派事務所の前です。朝8時ですが多くの報道陣が集まり、関係者の動静に注目が集まっています」
関係者の出入りがあるたびに高まる緊張。
故・細田氏キックバック認識か 政治資金規正法の改正は
総額5億円にのぼるとみられる安倍派の裏金疑惑。安倍派と言いますが、正式な名称は「清和政策研究会」です。福田赳夫元総理が1979年に創設し、その後、森派、細田派などと呼ばれてきました。安倍派となったのは2021年のことです。
細田博之前衆院議長(2021年)「安倍新会長の下で頑張ってください」
安倍晋三元総理(2021年)「清和政策研究会は常にお互いに協力し合い、助け合いながら自由民主党を支えてきた」
40年以上の歴史をもつ清和会。関係者は、取材に対しこう証言しています。
安倍派関係者「細田博之氏が派閥の会長だったころ、キックバックの具体的な金額を議員に伝えていたことがあった」
元会長である細田博之前衆院議長からキックバックの金額について具体的な指示を受けたといいます。派閥の会長がキックバックを認識していた可能性があります。
18日、都内で講演を行った茂木幹事長。今回の裏金疑惑に言及しました。
自民党茂木敏充幹事長「政治資金規正法の改正等、法改正も含めて透明性がしっかりと確保できるような措置を早急に検討していかなければいけない」
茂木幹事長の発言を受けて岸田総理は…
岸田総理「そういった選択肢も決して否定するものではありません」
特捜部による捜査の行方は
小川彩佳キャスター:東京地検特捜部による安倍派事務所などへの家宅捜索がいつ行われるか注目されていますが、検察がかなり慎重になっているという感覚はありますか?
TBS社会部佐藤浩太郎記者:議員や秘書などの関係者が複数にわたることで非常に複雑な問題となっています。秘書は東京の秘書のほか地方の秘書も聴取の対象となっていて、並行して議員本人の聴取も既に始まっています。強制捜査の可否やタイミングは捜査当局が慎重に判断しているものと思われます。
議員立件のハードルは
小川キャスター:今後、裏金疑惑が浮上している議員、立件などの処分に問うことはあるでしょうか。
佐藤記者:キックバックの“不記載を巡る議員の指示”があったかどうかの資料をこれから集めるものと思われます。また、必要によって家宅捜索を行う可能性もあります。
政治資金規正法は、まずは事務方の会計責任者が立件の対象となります。そのため検察幹部は「議員立件のハードルは低くない」と口を揃えています。
小川キャスター:今後、どういうことがポイントになるのでしょうか?
佐藤記者:議員が不記載の指示をしていたり、それを了承していたことがわかるメールなどの客観的な証拠が集められれば議員側の立件も可能で、それは過去にも前例があります。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:今、永田町で何が起きているかというと、20~30人以上にのぼる秘書や会計責任者たちが連日取り調べを受けていて、終わったら議員や周りの人に「何を聞かれた?どんな反応だった?」などと聞かれます。そうすると、議員に頼まれたのか、会計責任者に言われたのか、派閥のボスから指示されたのか、ということを検事からかなり聞かれたと証言する人が多いんですね。
つまり、検察は秘書が誰に言われてやったのか、どういう派閥の指示だったのかということに非常に関心を持っているのがわかるんですけど、そこを展開できるかどうかにかかってくると思います。
藤森祥平キャスター:議員の立件はありそうですか?
星浩さん:ここで議員の立件ができなかったとなると、検察の威信に関わることですので、相当、力を入れてやると思います。
支持率10%台も…正念場の岸田内閣
藤森キャスター:こうした中、週末に行われた大手新聞各紙の世論調査を見ると、それぞれ岸田内閣の支持率は内閣発足以来の最低水準となっています。
<内閣支持率世論調査> ▼毎日新聞:16% ▼共同通信:22.3% ▼朝日新聞:23% ▼読売新聞:25% ▼日経新聞:26%
この数字に岸田内閣は持ちこたえることができるのでしょうか。
<2024年主なスケジュール> 1月:通常国会召集 3月:来年度予算成立? 4月:衆参補欠選挙 9月:自民党総裁任期切れ
星浩さん:歴代の政権の終わり方を見ていますが、それぞれにパターンがあるんですね。
岸田さんの場合、このスキャンダルを抱えてどうなっていくのか。元々減税が失敗して以来、政権の求心力が落ちているところにこの事件なので、かなりダメージが大きいわけです。
このままいくと通常国会がもたない可能性もゼロではないですけど、それを乗り切ったとしても1月から3月までは政府は提出した予算をそのまま説明しなければなりません。新しい追加対策は打ち出せませんから、そこでは野党の攻撃にさらされる一方なんですね。そこで来年度予算の成立と差し替えに自分の首を差し出して退陣する可能性が3月末にあります。
見逃せないのは、この事件との絡みで政治家が何人か立件されて逮捕や議員辞職、公民権停止になったりした場合、4月末に予定されている衆参補欠選挙、今のところ亡くなった細田前議長の補欠選挙ですけど、それ以外に場合によっては10人分ぐらいの補欠選挙ということも考えられて、岸田さんで補欠選挙が戦えるのかという声が出て“岸田おろし”につながる可能性があるんじゃないかと見ています。
仮に、そのまま補欠選挙に突入して惨敗した場合、そこで責任を取って退陣ということになるので、9月の総裁任期切れまで岸田さんが持ちこたえるのはかなり至難の業だと思います。
小川彩佳キャスター:どこかで起死回生ということはあるのでしょうか?
星浩さん:減税で相当ミスをしているので政策で盛り返すのは難しいですし、景気全体は2024年はあまり良くない雰囲気なので、風当たりは一層厳しくなると思います。
小川キャスター:岸田総理の胸の内としてはどういった状況でしょうか。
星浩さん:やっぱり「どこで失敗したかな」と思ってるんでしょう。これを逆転していくには政治改革、派閥解消などをやっていくしかないんですけど、なかなか難しいと思いますね。
小川キャスター:支持率低下の大きな要因となっている裏金疑惑の本質はどこにあると思いますか?
問題の本質は“構造腐敗”
星浩さん:いろんなところから話を聞いてみると、かなり構造的な腐敗だと捉えているんです。つまり、元々この20年ぐらい前から始まった裏金問題ですけど、額が高くなったのは第2次安倍政権以来のこの10年です。
アベノミクスの金融緩和で大企業は潤い、その大企業に多額のパーティー券を買わせて、そのパーティー券を派閥に納入させてキックバック・裏金を受けて、さらに一部は政治活動に使って派閥の人数を増やしたり維持したりという構造になっています。
どうもアベノミクスに便乗してお金を集めて私物化し、それを派閥の中で使い回していた構図が見えてくるので、その全体構造にどこまで検察の捜査が迫れるかがポイントになってくると思います。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題 今後の捜査について「みんなの声」は?
NEWSDIGアプリでは『自民党の派閥』について「みんなの声」を募集しました。
Q.自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、東京地検特捜部は議員本人や秘書らに聴取を行っています。あなたは今回の検察の捜査についてどう思いますか?
秘書だけではなく政治家も徹底的に捜査してほしいので期待している 82.5%形式的な捜査に終わると思うので期待していない 16.4%わからない 1.1%
※12月18日午後11時41分時点(アンケートは19日午前8時で終了しています)※統計学的手法に基づく世論調査ではありません

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする