23日夜に奈良県下北山村の国道169号で発生した土砂崩れで、国土交通省近畿地方整備局の道路防災ドクターとしてアドバイスを行う京都大の大西有三名誉教授(岩盤工学)が24日、現場調査後に報道陣の取材に応じ、原因について「最近寒暖差が大きかったため、急激な温度変化によって地中の水が凍ったり解けたりを繰り返す『凍結融解』によって岩盤の劣化が進んだ可能性がある」との見解を示した。
奈良県道路マネジメント課によると、国道169号ではこれまでにも複数回、降雨時などに土砂崩れが発生しているが、現場付近では当時、雨は降っていなかった。大西氏によると、寒暖差による地盤の凍結融解は北海道で多くみられるという。
大西氏によると、崩れた土砂は約4千立方メートルで、高さ約40メートルの地点には、今後崩れ落ちる可能性のある岩塊が残存。今回の土砂崩れでは通行中だった軽乗用車から男性(53)が救助され、他にも車両が埋まっている可能性があるが、二次災害を防ぐために救助活動の前に岩塊を撤去して安全を確保する必要があり、無人重機で作業する可能性もあるという。
県などは24日午後、上部の土砂の状況を詳しく調べた上で、救助活動を含めた今後の対応を検討する。大西氏は「まず安全を確保しなければならない。正確にいつから救助活動を始められるかは明言できない」と話した。