米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、国土交通省は27日、沖縄県に代わって工事の設計変更を承認する代執行を28日午前9時半ごろから正午ごろに省内で行うと発表した。斉藤鉄夫国交相名の承認書を作成し、同省職員から防衛省沖縄防衛局職員に交付する。地方自治法に基づき国が代執行を行うのは初めて。
同法は、代執行の日時や場所、方法をあらかじめ県に通知しなければならないと定めている。国交省は通知文書を26日に発送。27日午前、沖縄県庁に届いたため、内容を公表した。
代執行は、国が都道府県に委ねている「法定受託事務」の管理や執行を知事が怠った場合などに、担当相が代わりに事務をする手続き。20日の福岡高裁那覇支部判決で承認を命じられたのに県が従わなかったため、国交相が代執行に踏み切ることになった。
一方、沖縄県は27日、福岡高裁那覇支部の判決を不服として上告した。肺炎による療養から県庁での公務に復帰した玉城デニー知事は記者会見で、判決について「地方自治の本旨、多くの沖縄県民の民意という真の公益を顧みなかった。司法自ら(政府が主張する)『辺野古が唯一』との固定観念に陥っている。この固定観念こそが、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去という根本的な問題の解決を遅らせている」と批判し、最高裁に破棄を求める考えを示した。
国交相が28日に代執行すると通知したことには「沖縄県の自主性と自立性を侵害し、多くの県民の民意に反するものであり、地方自治を否定する先例となりかねない」と批判。代執行せずに工事を止め、問題解決に向けた県との対話に応じるよう求めた。【内橋寿明、比嘉洋】