原子力規制委員会は27日、テロ対策の改善を確認できたとして、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出していた事実上の運転禁止命令を解除した。山中伸介委員長は同日午後の記者会見で「(命令解除で)東電にお墨付きを与えたつもりはない」と述べ、改善が定着しているかどうか今後も検査する方針を示した。
テロ対策の重大な不備による、核燃料の移動を禁ずる異例の命令は解除までに約2年8カ月を要した。山中氏は「東電が自らの弱みを把握し、改善する仕組みを実行に移すところで時間がかかった」と分析した。
東電の小早川智明社長は命令解除後、斎藤健経済産業相と面会。斎藤氏は再稼働の焦点となる地元同意に向け、地元の信頼を回復するための取り組みをまとめ、報告するよう指示した。取材に応じた小早川氏は「再稼働時期の見通しは、申し上げる段階にはない」と述べた。
新潟県の花角英世知事は「規制委の判断について県民に丁寧に分かりやすく説明してほしい」とのコメントを発表した。