全国の公立小中学校の9割超が業務にファクスを使っていることが27日、文部科学省が実施した校務のデジタル化に関する調査で分かった。押印や署名が必要な書類があるとした学校も9割近くに上っていた。政府は教員の業務負担軽減のため、令和7年度中にファクスやハンコの使用を原則廃止する方針を掲げており、文科省は学校側に業務の見直しを求める。
学校のデジタル化は8年度までを集中的に進める期間と位置づけられている。調査は現状を把握するため、9~11月にかけて行われ、2万6364校から回答を得た。
調査によると、「業務にファクスを使用している」と回答した学校は95・9%、「押印・署名が必要な書類がある」との回答は87・2%に上った。
ファクスの主な送付先は、民間事業者が70%、教育委員会が58%、給食センターが32%。教委との間では、インフルエンザの罹患(りかん)情報を連絡する際などに使われていた。文科省の担当者は「学校だけでなく、教委や教育関連団体、民間事業者を含めて利用を控えるよう働きかける必要がある」と説明した。
押印は通知表や修学旅行などに同意を求める書面や校務の申請書に使われるケースが目立った。「法的な根拠はなく、学校が大事だと思う書類に長年の慣行で押印している」(文科省)といい、文科省は年内に校務の見直しを求める通知を出して改善を呼びかける。
また、小中学生に1人1台の学習用タブレット端末が配備されたことを背景に、デジタルのドリル教材などを使って宿題を出したり、採点したりする学校は一部実施を含めて77・2%に達した。
宿題の採点は教員が負担と感じる業務の一つで、文科省はコンピューターによる採点に切り替えを目指す。思考力や発想力が問われる教材では、端末を活用して個々の子供の習熟度を把握するなど工夫を求める。(大森貴弘)