「誰が逮捕されるのか」「どれくらいの規模になるのか」──。
師走を迎えた東京・千代田区永田町の自民党本部。例年のこの時期、仕事納めの年末ムードが漂う党本部は、全国各地の都道府県連の幹部や支持者らが訪れ、談笑する姿がみられるが、今年は人もまばらで、ピリピリとした異様な緊張感が漂っているという。
それはそうだろう。派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、事件が一体どこまで広がりを見せるのか、現職国会議員の逮捕「Xデー」はあり得るのか、など展開が見えないからだ。
すでに東京地検特捜部は、「安倍派」(清和政策研究会)の座長を務める塩谷立元文部科学相(73)や、事務総長経験者の松野博一前官房長官(61)、高木毅前党国対委員長(67)のほか、世耕弘成前党参院幹事長(61)、萩生田光一前党政調会長(60)らを相次いで任意聴取。27日には安倍派の池田佳隆衆院議員(57)の議員事務所や議員宿舎を家宅捜索した。
特捜部は「二階派」(志師会)への捜査も進めているとみられ、事件の全容はいまだ不明のままだ。
■「令和のリクルート事件」どころか、憲政史上、最大規模の汚職事件との声
27日付の産経新聞は、安倍派の所属議員が「キックバックは党からの政策活動費だと思った」などと説明していたことについて、政策活動費が「派閥に支給された痕跡がないことが分かった」「安倍派の説明が虚偽の可能性が高まった」と報道。疑惑が晴れるどころか、ますます深まり、悪質性も強まるばかりだ。
岸田文雄首相(66)が「出来るだけ早い時期に党の信頼回復のための組織を立ち上げる」などと腰の重い態度を見せているのも、逮捕、起訴される人物や人数が分からないため、対応に苦慮しているとも言われている。
「令和のリクルート事件」どころか、憲政史上、最大規模の汚職事件との声も出る中、SNS上では、こんなブラックジョークもささやかれ始めた。
《もしかして逮捕者が続出して、小菅の東京拘置所が党本部になるんじゃないのか》
《ヤメ検の弁護士に声がかかりまくっている、なんて話もあるらしい。着手金は裏金からだったりして》
「秋霜烈日」。特捜部は手を緩めることなく、ガンガンやってほしい。