石川県能登地方を震源とする地震で、県内の死者が73人に上ることが3日、明らかになった。建物の倒壊で生き埋めになっているとの通報が多数寄せられているが、救助活動が難航して安否が分からない人もいる。石川県は3日夜、少なくとも輪島市と穴水町で15人が安否不明になっているとして氏名を公表した。生存率が急激に下がるとされる「発生後72時間」が4日夕に迫り、警察や消防などが懸命の捜索を続けている。
また、国土交通省は3日、津波に襲われた石川県珠洲市と能登町で約100ヘクタールの浸水を確認したと明らかにした。県の防災ヘリの動画データによる解析で、今後の調査次第では変動する可能性がある。
死者数の市町別内訳は3日夕時点で、輪島市39人▽珠洲市23人▽七尾市5人▽穴水町2人▽能登町2人▽羽咋市1人▽志賀町1人。能登町によると、町内で死亡が確認されたうちの1人は中学1年の男子生徒。今回の地震による死者数は、2016年の熊本地震で倒壊家屋の下敷きになるなどして亡くなった「直接死」(50人)の人数を上回っている。
住宅被害の全容も判明していない。総務省消防庁や各県の被害まとめによると、石川、富山、新潟3県の全壊・半壊は196棟。ただし、石川県輪島市、珠洲市、能登町の3市町は被害棟数を「多数」としており、正確な数は不明だ。負傷者数は、7府県で395人。石川、富山両県を中心に約3万4000人が避難生活を送っている。
厚生労働省によると、3日午後の時点で石川、富山、新潟3県の約11万戸で断水が続いている。北陸電力によると、3日午後10時現在で石川県内の約3万戸で停電となっている。
強い地震も収まっておらず、3日午前2時21分に珠洲市で、午前10時54分に輪島市でそれぞれ震度5強を観測した。能登地方では1日午後4時~3日午後4時に震度1以上を観測した地震が計521回に上る。石川県内は4日にかけて雨となる見通しで、気象庁は土砂災害への警戒を呼び掛けている。【深尾昭寛、川畑岳志、露木陽介】