募る焦り、無事祈り続ける=孫3人ら不明、「諦めず待つ」―石川・珠洲

能登半島地震で最大震度6強を観測した石川県珠洲市。津波の被害などを受け避難する主婦大間玲子さん(65)は、孫3人ら多くの親族の安否が分かっていない。土砂崩れで生き埋めになったと聞いており、生存率が急激に下がるとされる発生72時間が経過しようとも、無事を祈り続けている。
大間さんが住むのは、海沿いの集落。地震発生時、慌てて家を出ると恐ろしい光景が目に飛び込んできた。「波がぐーっと引いていくのが見えて、少しして防波堤を乗り越えてきた」。足が悪かったが、100歳の母を背負う娘の夫と共に、着の身着のままで逃げた。
自宅を見に帰ると、津波で車は遠くに流されていた。自宅にも海水混じりの泥が流れ込み、こぼれた灯油の臭いが充満。その後、避難先の市役所で、珠洲市内の妻の実家に帰省していた長男一家が行方不明になっていると知った。
実家は同市仁江町の山際にあり、崩落した土砂が家をのみ込んだ。「次女からの電話で『兄ちゃん(長男)らが埋まった』と聞いた。長男は救助されたが、孫や長男の妻、親戚も見つかっていないそうだ」と不安がる。
孫は小4、小3、4歳の3人という。「孫らはこたつの下に隠れたと聞いた。でも長男が泣きながら掘っても掘っても、倒壊したところからこたつが見つからないって」。気丈に振る舞っていたが突然、目を両手で覆った。「長男が捜し続けている」と信じるが、焦りは募る。
3日に様子を見に戻った自宅には、用意した正月料理がそのまま。構造上の大きな被害がなさそうなのは救いで、「諦めずに待つ」と大間さん。壁に貼った孫からの似顔絵を見ながら、自身に言い聞かせた。
[時事通信社]

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