能登半島地震で被害が大きかった石川県内の一部で斎場の火葬炉が損壊し、遺体の火葬業務に影響が出ている。同県能登町の能登三郷斎場にある3基すべての火葬炉が、発災した1日に故障した。2日に1基は緊急で修理できたが、残る2基は復旧のめどが立っていない。町内には他に火葬炉を持つ斎場がないため、近隣の七尾市などで火葬を試みているが、地震による道路陥没で渋滞が発生し、遺体搬送もままならない状況だ。
「能登三郷斎場では現在1日2件の火葬しか受け付けられない状況なので、4日からは葬儀の受付を止めました」。そう話すのは同町で葬儀会社を営む布浦和彦さん(76)だ。現在、町内の安置所に2体の遺体を預けており、比較的近い七尾市や金沢市での火葬を試みたという。
だが、「地震で道路が陥没、土砂崩れなどで遠回りしなければいけないルートもある。約50キロ先の七尾市まで7時間ほどかかると聞き、現状では葬儀を受けられないと判断した」と話す。
ただ、遺体搬送を試みた七尾市でも、同市内にあるななか斎場の火葬炉も1日の地震で損壊し、一時火葬ができない状況になっていた。同市によると、4日までに修理が終わり、現在は通常の火葬業務が行えるようになっているという。
とはいえ、被災地では現在も余震が続いており、同様の状況が被害の大きい日本海沿岸近くの自治体に広がる懸念は高まっている。(西村和也)