石川県で最大震度7を観測した能登半島地震。発生から6日目も依然として行方不明者は多く、各地で懸命の捜索・救出作業が続いた。多数の家屋が倒壊した石川県珠洲(すず)市宝立町では6日、自宅の下敷きとなっていた浅田三友(さんゆう)さん(74)が、遺体となって発見された。
「(捜索隊には)できる限りのことをしてもらった。布団で寝かせてあげられ、ありがたい」
あの日以来5日ぶり。浅田さんの妻(70)は長年連れ添った夫と無言の対面を果たした後、気丈に語った。
地震が発生した1日夕、浅田さん夫妻は千葉市から帰省中の長男、貴大さん(44)一家とともに計6人で自宅1階にいた。最初の揺れの後、浅田さんは1人で仏間の様子を見に行った。そのとき、最大震度7の地震が襲った。
貴大さんらはとっさにリビングの机の下に隠れた。築50年弱という木造2階建ての自宅は完全に倒壊したが、リビングは2階部分がないこともあり、何とか外に逃げ出せた。しかし浅田さんの姿はなく、呼びかけても返事は聞こえなかった。
翌日から自衛隊が入ったが、がれきの山となった自宅跡の捜索は難航。「遺体でもいいから、とにかく早く見つけてあげたい」。家族を千葉に帰し、貴大さんは残って捜索を見守った。
災害救助犬や重機も投入され、ようやく浅田さんが見つかったのは6日午後1時過ぎ。遺体は妻が営む自宅近くの書店に運び込まれた。
「これまで何度も強い揺れが来ても大丈夫だった。崩れるとは誰も考えていなかった」と貴大さん。余震も続いており、「母のこれからの生活が心配だ」と語った。(倉持亮)