自民党派閥の政治資金パーティーを巡る政治資金規正法違反事件は7日、池田佳隆衆院議員(57)の逮捕という重大局面を迎えた。4800万円ものキックバック(還流)を受けながら、政治資金収支報告書に記載していなかったとされ、地元の愛知3区の有権者からは怒りや失望の声が相次いだ。自民党愛知県連は、池田容疑者から還流分の一部を受け取った地方議員がいないか調査する方針を示した。
「キックバックは何に使ったのか。地元への説明がないのが残念だ」。池田容疑者個人の政治資金パーティーに参加するなど、2012年の初当選時から支援してきた名古屋市緑区の自営業男性は困惑する。
男性のもとには先月7日、池田容疑者から「パーティー券の話で、大変ご迷惑をかけています」というメールが届いた。男性は「早く話した方が良い」と伝えたが、返信はなかったという。
疑惑が報じられて以降、池田容疑者は公の場に姿を現さず、同市天白区の地元事務所はこの日もスタッフらの姿はなかった。同市昭和区の女性(51)は「説明できないから逃げているのだろう。潔く議員を辞めてほしい」と憤り、自民県連幹部も「同じ党の一員として恥ずかしい」と嘆いた。
池田容疑者の逮捕を受け、自民党県連は急きょ記者会見を開くなど、対応に追われた。県連会長の丹羽秀樹衆院議員は愛知3区の地方議員に対し、キックバックの一部を受け取ったケースの有無を調べる意向を明言。「信頼回復の取り組みを進めていかなければ、自民党は立ち上がれない」と危機感を口にした。
現職国会議員の逮捕に、野党側は批判を強める。
立憲民主党県連の重徳和彦代表は「使途を含めてまだ何も明らかになっていない。政治資金規正法の改正を野党主導で考えていく必要がある」と指摘。共産党県委員会の石山淳一書記長は「ただちに議員辞職すべきだ。自民党全体として真相を明らかにしていく必要がある」と非難した。