能登半島地震で、避難所に設置された仮設トイレのし尿について、伊藤信太郎環境相は9日の閣議後記者会見で、地震で稼働停止中のし尿処理施設で一時保管を開始したと発表した。避難所のし尿回収の作業効率を上げるのが狙い。
経済産業省によると、石川県輪島市、珠洲市、七尾市などの避難所に仮設トイレを405基設置しており(9日時点)、さらに約100基の追加を目指している。し尿処理を所管する環境省は各県などと連携し、仮設トイレからし尿を回収するバキュームカーを20台(5日時点)から順次増やし、9日現在で30台を確保した。ただし、能登地方の処理施設は被災して現在稼働できず、し尿を県南部の白山市まで長距離輸送しなければならない「非効率な状況」(伊藤環境相)だった。
まずは避難所からの回収を急ぐため、環境省などは七尾市と珠洲市にある停止中の2施設のタンクを一時保管場所として活用することを決めた。この2施設で仮設トイレ約1200基分に相当する最大約470トンのし尿を保管できるという。同省はタンク外にし尿が漏れないことを確認したとしている。【岡田英】