海保羽田航空基地で当面航空機の運用を停止、再開の見通し立たず…隊員の精神的なケアも必要

東京・羽田空港の滑走路上で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故を受け、海保羽田航空基地が当面、航空機の運用を停止することがわかった。安全体制の再確立と隊員の精神的なケアが必要と判断したため。再開の見通しは立っておらず、周辺基地などでカバーを続ける事態となっている。
羽田基地配備の固定翼機(飛行機)は計4機。2日の衝突事故で、中型機「MA722」(ボンバルディア社製)が炎上し、4日には同空港で駐機中の大型ジェット機「LAJ501」(ガルフストリーム社製)が作業車両に接触されて右翼端を損傷し、飛行できなくなった。両機の同型機も1機ずつあるが、定期点検のため国内外の施設で整備中という。羽田基地の飛行機4機がいずれも飛行停止・不能となった形だ。
海保関係者によると、中型機1機は12日にも整備を終えて復帰するが、衝突事故後、同僚の一部に心身の不調が出ている。また、隊員への教育など安全体制の再徹底を進めている。そのため、海保は「基地の安全体制を再確認し、隊員の心のケアにも万全を期す必要がある」として、羽田基地では飛行機に加え、ヘリコプターについても運用停止を継続。再開時期は未定という。
羽田基地は、茨城から静岡までの沿岸部に加え、小笠原諸島や沖ノ鳥、南鳥両島周辺を含む広大な海域を管轄し、ヘリコプターや飛行機で海上監視や遭難者の捜索・救助にあたる。「LAJ501」は今月1日も、沖ノ鳥島周辺で中国公船への警戒監視にあたった。
海保は運用再開まで、宮城県内や大阪府内の基地所属の飛行機のほか、長時間飛行が可能な無人航空機「シーガーディアン」も活用して対応する。巡視船搭載のヘリの運用は続ける。海保幹部は「効率的な運用を工夫、追求し、安全安心を提供したい」とする。

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