復興の鳥居再び倒壊「再建まだ考えられぬ」 石川・珠洲の神社、昨夏新調したばかり

元日に発生した能登半島地震で、震度6強の揺れを観測した石川県珠洲(すず)市の春日神社の鳥居が倒壊したことが分かった。この鳥居は令和4年6月に能登地方で起きた震度6弱の地震で倒壊。昨年夏に寄付などを募って再建したばかりだった。2年もたたず再び倒壊したことに、神社関係者は「今は再建のことまで考えられない」と話す。
4年6月の地震当時、同神社の倒壊した鳥居は報道などで大きく取り上げられた。取材に応じた宮司の葛原(かつらはら)秀史さん(56)によると、その後、鳥居の再建を目指し、クラウドファンディングや寄付で再建資金を公募。「祭りをやることを復興の第一歩にしよう」と、毎年7月に盛大に行われる燈籠(とろ)山祭りに合わせ、昨年7月6日に完成した。新調した鳥居は基礎もしっかりし、少しの揺れでは崩れないはずだった。
しかし半年後、またも能登半島を激震が襲った。元日の午後4時10分に発生した地震で、鳥居がばらばらに崩れ落ちてしまったのだ。神社近くに住む葛原さんは当時外出していたが、帰宅したところで倒壊に気づいた。多くの人の思いが詰まった鳥居が倒れたことに「申し訳ない」と感じるしかなかったという。
「まずは自分の生命を守らないといけない状況。鳥居は二の次だ」。再び鳥居を再建したい気持ちもあるとはいえ、街の惨状を見ていると、今は鳥居の再建を積極的に考える気になれない。
何より、神社は住民の心のよりどころだ。「街の人が元気になって生活を取り戻したとき、初めて(鳥居の)再建の話ができる」。葛原さんは言葉を選ぶように語った。(弓場珠希)

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