精神科医が見た能登半島地震「余震のたび眠れず」「支援者も疲弊」ショック・恐怖で持病悪化懸念も

能登半島地震では、被災した人たちの心のケアにあたるため、鹿児島の精神科医らが現地に派遣されています。今、被災地で求められているケア、そして見えてきた課題は?派遣された精神科医に聞きました。(県立姶良病院 堀切靖副院長)「表面的には元気で頑張っている方が多かった。逆にこちらが元気をもらう場面もあった」県立姶良病院の精神科医・堀切靖副院長です。堀切副院長は、院内の精神科医など4人でつくる災害派遣精神医療チーム「DPAT」のリーダーで、国の要請を受けて、今月11日から5日間、石川県の珠洲市と輪島市で活動しました。DPATは、大規模災害などで被災した人たちへの心のケアにあたる専門チームで、東日本大震災をきっかけに全国で整備が進みました。鹿児島では熊本地震のあと、県立姶良病院をはじめ、7つの病院にチームがつくられています。(県立姶良病院 堀切靖副院長)「(がれきで)上から押しつぶされている車もあった。実際に被災地の現場を目にすると、写真やテレビ画面を通して見るよりも深刻な状況だと肌感覚で分かった」被災者が抱える不安の1つが、今も続く余震です。体に感じる震度1以上の地震は今月1日以降、1400回を超えています。(県立姶良病院 堀切靖副院長)「余震のたびに思い出し、不安になって眠れない人もいた。被災者の話をじっくり聞くのが基本」先の見えない避難生活。不安で眠れない人もいれば、症状が進んでうつ状態になっている人もいました。現地に行って見えた支援の限界もあったといいます。(県立姶良病院 堀切靖副院長)「アクセスが非常に悪く、普段1、2時間で行けるところを半日かけて行かないといけない。困っている人がいないか、探して回る活動はできていない」「内に秘めて黙って1人で我慢している人の支援に行けていない」心のケアは、避難所を運営する自治体職員など、支援する側にも必要だと考えています。(県立姶良病院 堀切靖副院長)「支援している人たちも被災、家が燃え市役所に寝泊まりしている人も。これからの課題は、支援している人たちのメンタルケア」2016年の熊本地震では、熊本県内で直接死が50人、この4倍以上にあたる218人が災害関連死と認定されました。熊本県の調査では、関連死で亡くなったおよそ4割が「地震のショックと余震への恐怖」3割が「避難所生活などでの肉体的・精神的負担」が原因で持病の悪化や自殺などに至ったと分析していて、心のケアの重要性が浮き彫りとなりました。鹿児島でもいつ大災害が起こるか分からない中、ひとたび災害が起こると道路やライフラインの復旧が優先されがちですが、堀切副院長は、災害時の心のケアについても備えを進めてほしいと話します。(県立姶良病院 堀切靖副院長)「助けを受け入れる体制を平時から作っておかないといけない」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする