愛知県は18日、重症心身障害者の入所施設「県三河青い鳥医療療育センター」(同県岡崎市)で、40代の女性看護師が入所者に鼻から水分を与えるなどの虐待行為をしていたと発表した。
センターによると、2022年5~11月ごろ、食べ物をうまく飲み込めない嚥下(えんげ)障害のある40代女性を介助する際、とろみのついた水やパンがゆなどをあおむけ状態の女性の上唇にスプーンで乗せ、鼻から摂取させた。
同11月に、他の職員との面談を通じセンター側が把握。翌月に岡崎市に報告し、昨年6月、「窒息の可能性があり、命に関わる危険な行為」として虐待と認定された。
女性は歯を食いしばるなどして、口から食べようとしないことが多かったという。看護師は「たまたま食べ物を鼻から吸い込んでしまったことがあったが、誤嚥(ごえん)もせず飲み込んでいた。食べさせなければいけないと思ってやった」と説明している。女性の健康被害は確認されていない。
運営する社会福祉法人「恩賜財団済生会支部愛知県済生会」の加藤欽一支部長は「(看護師は)利用者のためにベストを尽くしたつもりだったのだろうが、ふさわしい対応について他の職員とも議論すべきだった。虐待に対する知識や意識が低く、施設内の風通しも十分でなかった」と話した。【加藤沙波】