自民党派閥による裏金事件を受け、岸田首相が党内に設置した政治刷新本部が「政局」の舞台になっている。チラつくのは、菅前首相と同氏に近い無派閥議員の影だ。
約150人が参加した16日の刷新本部会合では「派閥解消論」が噴出。ヤケに元気だったのは、派閥解消が持論の菅氏と近い無派閥議員たちだった。
和田政宗参院議員は「派閥を全廃すべきだ」と訴え、石川昭政衆院議員は「『隗より始めよ』で岸田派から解消してほしい」と発言。西野太亮衆院議員は「月内の中間とりまとめは、あまりに(時間が)短い。しっかり議論する時間をとるべきだ」と主張していた。
彼らが声を上げた理由について、菅氏に近い無派閥議員はこう解説する。
「刷新本部の本部長を務める総理への脅しみたいなものだ。刷新本部は26日の通常国会召集までに中間報告を取りまとめる予定だが、残された時間はわずか10日間程度。中途半端な内容になるのは間違いない。『曖昧決着なら岸田さんの責任問題ですよ』と突きつけた格好です。総理の失敗を世間に印象付けるために、あえて達成不能な注文をつけたわけだ」
「岸田脅迫」を命じた可能性
刷新本部の最高顧問である菅氏はこの日の会合ではダンマリ。「立場上、発言は制限されていた」(同前)という。自ら“子分”たちに「岸田脅迫」を命じた可能性もある。
「菅さんとその周辺は、将来的な政局を見据えているのでしょう。4月には複数の補選が行われる可能性があるが、そこで惨敗すれば『岸田ではダメだ』という声が大きくなる。そうなった時に、一気に岸田降ろしに動く気ではないか。菅さんの手中には“小石河”と呼ばれる総裁候補のカードがある。小泉元環境相、石破元幹事長、河野デジタル相のことですが、3人のうち誰かを担いで、権力中枢に返り咲く絵を描いているとみられています」(官邸事情通)
安倍派が壊滅状態の今、70人超の無派閥議員は、ある意味で党内最大勢力。菅氏の下で結束し、巻き返しを狙っているに違いない。実際、12日には無派閥4議員が新組織発足を発表。無派閥議員の意見発信を図ると明かした。
「メンバー4人のうち、坂井学元官房副長官と田中良生元国土交通副大臣は菅印。赤沢亮正財務副大臣は石破さんの側近で、橘慶一郎元復興副大臣は小泉さんに近い。彼らは無派閥議員による“派閥”結成を打ち出したわけですが、あまりにロコツな政局だ。党内では『センスが悪すぎる』という声が上がっています」(政治部記者)
裏金事件を政局に利用。本当に醜悪だ。