「ぎりぎり合格60点」=月面着陸成功も発電できず―「復活」に期待も・JAXA幹部ら

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長らは20日未明、相模原キャンパス(相模原市)で記者会見し、小型無人探査機「SLIM(スリム)」の月面着陸成功を発表したが、太陽電池で発電できない状況だったため笑顔はなかった。国中均宇宙科学研究所長は評価を問われ、「ぎりぎり合格の60点としたい」と話した。
ただ、目標地点から100メートル以内のピンポイント着陸については、国中所長は機体が予定通りのコースで降下したことから、「ほぼできただろうと考えられる」と指摘。今後のデータ解析で確認されれば世界初となり、山川理事長は「降りたい所に降りるのは月探査で非常に重要な技術になってくる」と述べた。
機体に張った太陽電池で発電できないのは、日陰に着陸したか、太陽光が当たらない姿勢になった可能性がある。バッテリーで短時間しか稼働できなくなったが、宇宙研の藤本正樹副所長は「バッテリーの終わりがスリムの終わりではないはずだ」と話し、太陽の位置が変化して発電できるようになることに期待を示した。
欧州宇宙機関(ESA)の小型探査機「フィラエ」は2014年に初めて彗星(すいせい)への着陸に成功した際、崖の陰に入ったため太陽電池で十分発電できず、バッテリー切れで休眠。しかし、彗星の太陽接近に伴い、発電して通信が復活した例がある。スリムもこうした事態を想定しており、復活可能だという。
藤本副所長は「子どもたちが月を見上げた時に、スリムがいるんだなと考えると思う」と話し、月の形成過程や科学への興味につながれば「今回の成功の意義は大きくなる」と語った。
[時事通信社]

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